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室長の健康アドバイス

原気(げんき)を元気にしましょう  (奏玲通信2017 初夏号より)

2017・4・30若葉の桜 (縮小).jpgclover治療室前の桜の木もすっかり若葉色ですclover レノもごきげんです。

☆☆☆室長の健康アドバイス☆☆☆ 

「原気(げんき)を元気にしましょう」

 一流のスポーツ選手は、本番に最高の能力が発揮できるための呼吸法を身につけています。多くの治療家は癒やしの力を高めるために腹式呼吸をして下腹に気を集めます。現代人は胸の筋肉だけを使って浅い呼吸をすることが多く、浅い呼吸をしていると全身の気の流れにむらが生じてきます。幼い子どもは深い腹式呼吸を自然にしていますが、社会経験の中で感情を抑制するようになると浅い呼吸が多くなってきます。

 東洋医学においては、肺(呼吸器系)の働きの弱まりは憂うつや悲しみが現れる原因の一つと考えます。背を丸めて胸を落ち込ませて浅い呼吸をしていると、人は憂い悲しみを感じやすくなるものです。現代人の呼吸の浅さというのは、自分ではコントロールできない社会において満足感が得られずに不安を感じていることと関連しているのではないでしょうか。

 「元気ハツラツ」とか「お元気ですか」などの語源は、東洋医学で言うところの「原気(げんき)」に由来します。原気とは、この世に生を受けた際に親から受け継いだ先天の気と、空気や食物から作られる後天の気とが混ざり合ってできるもので、生命活動の原動力となります。原気は下腹の中央部分の丹田(たんでん)に集まり、気の通り道である経絡をめぐって全身に活力を与えています。原気が旺盛な人は下腹に力があり充実していて、筋骨や内臓や九竅(きゅうきょう=目・耳・鼻・口・尿道口・肛門の九つの穴)が力強く働きます。原気が衰えている人は下腹が軟弱で、動きが弱々しく、疲れやすくて冷えやすく、病気にかかりやすくなります。

 横隔膜を大きく動かす腹式呼吸をすると、丹田の原気が活性化して全身に気がめぐりはじめます。日常生活の中で、例えば昼休みとかお散歩中とか何かのついでに腹式呼吸をしてみましょう。背すじを伸ばして、ゆっくりと息を吐ききってお腹をへこませます。「呼」が吐くこと、「吸」が吸うことで「呼吸」ですから「呼(吐く)」が先です。ゆっくりと長く心を込めて吐くことが大切です。そうすれば吸うことを意識しなくても自然にお腹がふくらんで空気が入ってきます。息を吐く時には副交感神経が活性化するので、心と体はリラックスモードに変わります。歩行のリズムに合わせて「4回口から吐いて2回鼻から吸う」というように吐く方を多くします。また、口笛を吹くように口をすぼめてしっかり吐き出すと、肺がすみずみまで広がり効率的に酸素を取り込むことができます。

腹式呼吸の習慣を身につけて、加えて鍼灸治療で気の流れを調えてあげれば原気がさらに元気になっていつも健やかに生活できるのです。

 

 

 

「気にしなければ気は流れます」(奏玲通信2017春号)

お雛様お小さなチューリップ

  tulip日差しに暖かさを感じる日も増えてきました。寒かった時期を越えて木々も緑の葉をつけていきます。大きなエネルギーが動く季節、自然の変化とともに体調も刺激を受けやすい時です。休養をしっかり取って変化に負けないようにしたいものです。東日本大震災から6年、その間もずっと仮設住宅や他県で過ごしている方がまだまだたくさんいることを心に留めて支援を続けていきましょう。tulip

 

※※※室長の健康アドバイス「気にしなければ気は流れます」 (奏玲通信2017 春号より)※※※

  どんなに名優と呼ばれる俳優も、初めて演じる劇の台本を手にした時には、とことんセリフを読み込み、イメージし、役の世界に入り込んでいきます。やがて自分の身体の存在を忘れ、その役になりきることで、迫真の演技を繰り広げます。私たちが歩いているときに、足の出し方や手の振り方を一つ一つ意識していたら、ぎこちない歩き方になってしまいます。仕事をしているときに、自分の体を一つ一つ意識していたのでは能率は上がりません。食欲もお通じも睡眠も仕事も、順調な時には自分の体の存在は意識に上らないし、胃腸は順調に消化吸収し、筋肉や関節も順調に動いています。そのように「順調なとき」というのは、命の源である「気」も全身を滞りなく流れています。

  東洋医学で言うところの「気」とは、命の源・活力の源であり、また精神の源でもあるので、気が順調に流れていれば身も心も軽快です。食べたものがもたれて胃が気になるとか、動悸がして心臓が気になるとか、寝る前に耳鳴りがして気になるなど、不調な部分を意識すればするほど、症状がどんどん悪くなるように感じてしまいます。病院で検査をしても異常は見当たらないから「病気ではない」と言われて、それでも体調が気になるということで私のところに来られる方は少なくありません。病院の検査で「異常なし」でも、脈の拍動の状態・お腹の緊張の状態・皮膚のきめや寒熱の状態など、東洋医学的な診察をすると、不調な部分の気が滞っていたり不足していたりなどの何かしらの異常が必ず見つかります。

  気は、手・足・内蔵・脳・目・鼻・耳等々、全身をまんべんなくめぐっています。体のどこに気が不足しているか、どこに滞りがあるかを診察して、鍼とお灸で不足している部分に気を補い、滞っている部分の気の流れをよくします。全身の気が順調に流れ始めると、不調な部分の存在が気にならなくなり、体調も回復してゆきます。自分の体を意識しないでいられるということが健康的なことであり、それが理想的な生き方なのではないでしょうか。

  般若心経には「色不異空 空不異色 色即是空 空即是色」とあります。身体は空に異ならず。空は身体に異ならず。空というのは何も無いことではなくて、空という状態はそのまま健全な身体があることです。あるがままの身体はそのまま空であり、空であるということはあるがままの身体があるということです。そういう考え方の中から、とらわれのない自由で健康な生き方が出てくるのではないでしょうか。 

気楽に楽観的に (奏玲通信2017 初春号より 「室長の健康アドバイス」)

fuji 今年もみなさまにとって健康で笑顔あふれる年となりますように fuji

きょうの健康が明日の笑顔につながります。はりとお灸もお手伝いさせていただきます。

2016・12・31お正月準備完了1.jpg

 

~~気楽に楽観的に~~

 古来より伝わる陰陽論では、天地の間には陰の気と陽の気があり、相互に拮抗し合いながら万物を形成していると考えます。夜が最も長い冬至の頃には陰の気が極まり、そこから徐々に陽の気が増えてゆき、昼が最も長い夏至においては陽の気が極まります。冬至を過ぎて陰から陽へ、静から動へと上昇しはじめた頃が新春なので、そこで気持ちを新たにして「この年を素晴らしい年にしてやろう!」という意気込みで計画をたてるには年の初めというのはちょうどよいタイミングなのです。

 自分が立てた計画は達成できると信じている楽観主義の人は、勇気・率直・信頼・勤勉という性格特性を持っていると心理学者アドラーは述べています。ある人が非常にストレスを感じていても、同じ境遇の人が全く平気な顔をしていたり、重い病を抱えている人の中でもイキイキと人生を楽しんでいる人がいる。ストレスに対して柔軟で適切な処理ができてポジティブな方向に持っていける力を『ストレス対処力』と呼び、それが高い人ほど種々の困難をしのいでゆくことができると言われています。

 ストレス対処力が高い人というのは、「なんとかなるさ」という楽観主義の人が多いそうです。楽観主義と聞くと「チャランポランな人のこと?」と思われるかもしれませんがそうではなくて、困難においても勇気を持って希望と期待を抱きながらそれに執着しすぎず、柔軟かつ適切な対応ができる人のことです。

 楽観主義と楽天主義とは違います。楽天主義の人の場合は、悪いことは起こるわけがないと思い込み、起こったとしても何とかなるさと考えるだけで何もせず、できる範囲内で紛らわせてしまいます。

 「年の初めは上昇傾向なんだから、そこで計画を立てれば絶対にうまくいく!」と楽観的に考えて勇気を持って挑戦すれば、ラッキーチャンスは必ず到来します。無為自然を説いた老子は「物事は自ずからそうあるのだから、作為せず自然に従うことが徳(得)につながる道だ」と説いています。自然に従って気楽に生きるということは、怠けて生きることではありません。人には無為自然の素質が生まれながらに備わっています。それを確信すれば「気楽に生きてやろう」という気持ちになれます。

 東洋医学において『健康になる』ということは、人間本来の自然な姿に帰るということです。そうなれば無駄な力が抜けて、楽観的な考え方ができるようになるはずです。

秋と冬も水分補給を忘れずに!(奏玲通信2016 冬号より 室長の健康アドバイス)

メープル雪秋と冬も水分補給を忘れずに!メープル雪

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 運動中や運動後、また就寝中に足がつって痛い思いをしたことがある人は多いと思います。これをコムラ返りと呼びますが、コムラ(腓と書きます)とはふくらはぎ(むこうずねの後ろ側の筋肉)のことで、そこが硬く縮み上がって強く痛むのがコムラ返りです。 血液中のマグネシウムが不足すると、筋肉中のミネラル(マグネシウムとカルシウム)のバランスが崩れて、筋肉が必要以上に収縮してコムラ返りが起こります。筋肉中のミネラルバランスを崩す大きな要因が脱水です。運動でたくさん汗をかいたり、暖房で空気がカラカラになっている部屋にいると、体中の水分が失われて脱水となり、こむら返りが起こりやすい状態になります。また、足が冷えて血液循環が悪くなると、筋肉に十分なミネラルなどが補給されずコムラ返りが起きやすくなります。

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 その予防のためには、水分補給と保湿が大切です。マグネシウムをバランス良く補給するためには市販の経口補水液が理想的ですが、秋や冬はお茶などをこまめに飲むだけでも大丈夫です。水分補給は脱水を防ぐという目的の他に、定期的にトイレに行くという目的もあります。デスクワークや会議、スマホの操作、テレビドラマに釘付け…いずれも時間の経つのを忘れがちです。そのような時の体の状態は、頭の方に血液が集まって下半身は冷える、いわゆる「冷えのぼせ」状態になり、足の筋肉の柔軟性が失われてコムラ返りが起きやすいのです。こまめにお茶などを飲んでいると尿量が増えてトイレに行く回数も増えるので、何かに集中していても自然に足を動かす機会が増えて、頭の方に集まっていた血液が下半身にもめぐるようになります。トイレに行ったついでにアキレス腱を伸ばしたり、足首を回したり、背すじを伸ばして腕を回したりなどストレッチをするとさらに効果的です。

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 鍼灸治療の目的は気の流れを調えることです。気とは生命の原動力で、全身をめぐってすみずみまで活力を供給してくれます。頭がのぼせて足が冷えている状態は、東洋医学的に解釈すれば「気が頭にうっ滞して下半身を流れる気が不足している状態」で、これを「逆気」(ぎゃっき)と呼んでいます。鍼灸治療で逆気を改善するということは現代医学的に解釈すれば、自律神経(交感神経と副交感神経)の不調和を改善して、静脈血やリンパ液のうっ滞を改善して、心身の緊張を緩和させるということになります。

 治療が終わる頃には「体がポカポカしてリラックスできました」とか「腰や足が温まりました」などの患者さんの声が聞かれます。

scissors今年の冬は「水分補給と足元ポカポカ」を合言葉に元気にしなやかに!happy01

                                                                                                                                                                                                                    

 

冷やしたほうがいいのか?温めたほうがいいのか?     (奏玲通信2016初夏号より 室長の健康アドバイス)

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 打撲や捻挫などで患部が赤く腫れあがりズキズキ痛むというのは、その部分に急性炎症が生じているという状態です。そのような場合はまず第一に安静にしてなるべく早め、2時間から3時間以内に限定して氷嚢で冷やすと効果的です。消炎鎮痛薬も、血管を収縮して熱や腫れを抑えて痛みを緩和してくれるので、発症の初期段階では効果的です。また、医師が処方する冷湿布にも消炎鎮痛薬が配合されているものも多いので同じように効果が期待できます。

 でも、痛みにもいろいろあります。肩こり・緊張性頭痛・疲労性腰痛などの慢性的な痛みというのは、交感神経からくる筋肉の緊張や冷えによる場合が大半です。そのような慢性的な痛みに対して、消炎鎮痛薬を飲んだり冷湿布をすれば、交感神経の高ぶりに拍車がかかってますます体が冷えて筋肉の緊張が強まる可能性があります。治療室に来られる患者さんの中には、消炎鎮痛薬を何日も飲み続けていたり、冷湿布を長期間貼っている人も見受けられます。そうした方にいつから痛みがあるのか聞いてみると「何週間も前から」とか「もう何年も痛みが続いて」と言われるのです。

 急性炎症とは受傷 してから72時間以内(文献によっては48時間以内)のことを言います。この時期を過ぎている慢性的な痛みというのは、患部の血流が悪く冷えてしまい、筋肉や腱が堅くこるなど、急性炎症とは異なる状態になっています。このような状態の時に患部を冷やし続けたり消炎鎮痛薬を使い続けると、回復を送らせてしまうことになります。むしろ患部を温めて血液循環をよくしてあげることが必要です。そうすれば自然治癒力(自ら治る力)の働きによって、こりや痛みが徐々に緩和していきます。

 

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ギリシャの医師ヒポクラテスは「病気を治すのは患者自身が本来持っている自然治癒力である」と語りました。東洋医学においても気の流れを調えて人間本来のあり方を取り戻せばあとは自然に治っていくという「無為自然」の考え方が根底にあります。

 私も「患者さんの自然治癒力を引き出す」ということを常に念頭において治療にあたっています。鍼灸治療は血液循環がよくなり体が温まるので無理なく筋肉がほぐれていきます。そうすると気持ちもほぐれていきます。気持ちがほぐれると更に筋肉がほぐれて体がホカホカしてくるのです。

       ~~鍼灸治療で心も体も健やかに!~~

 

←4月はピンクだった桜並木もすっかり若葉になりました。 

春は足元にご注意を!!(奏玲通信2016 春号より)

tulipつい先日まで真っ暗だった朝のお散歩も6時をすぎれば明るくなってきました。澄んだ空気の中に色々なお花の香りがしてきます。鳥達の声も賑やかで、季節の移り変わりを肌で感じます。「花冷え」という言葉があるように、朝晩はまだまだ冷えますね。そんな季節の変わり目の注意を「健康アドバイス」で書きました。参考にされて体調を崩さないようにしてくださいhappy01

2013 春の花.JPG お花と一緒にひなたぼっこ。レオちゃん(13才)も元気です。

室長の健康アドバイス 春先は足元にご注意を!!(奏玲通信2016 春号より)

 今年は3月20日が春分の日です。太陽が真東から登って真西に沈み、この日から夏至まで昼がだんだんと長くなっていきます。春分3日前から7日間が春の彼岸ですが「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、温和な日差しが注いで寒さが和らぎ桜の開花情報も聞かれるようになります。

 3月から4月にかけての時期に心がけたいのが頭寒足熱すなわち頭は涼しく足元は温かくすることです。健康な人でも体温は上半身が高めで下半身が低めになっているのですが、この上半身と下半身の体温差をできるだけ小さくするというのが頭寒足熱です。片方の手で足先、もう片方の手でおでこを触ってその温度差を感じてみてください。ほとんど同じようなら頭寒足熱、足のほうが冷たければ頭熱足寒です。慢性的な頭熱足寒の状態を「冷えのぼせ」と言います。

 肩こり・頭痛・めまい・耳鳴り・鼻づまり・目の疲労感・寝付きが悪い・胃腸の不調(腹部膨満感、便秘、下痢など)・生理痛等で悩んでいる人は冷えのぼせの状態になっていることが多いものです。種々の症状を改善させるためには、冷えのぼせ(=頭熱足寒)から頭寒足熱の状態にすることが大切です。春の日差しが降り注ぐこの時期に注意しなくてはならないのは足元です。日差しは春なのに地面はまだ冬の冷たさが残っています。ですから上半身は春らしい服装に変えても下半身は冷えないような工夫をしてください。

 現代社会は手先や頭脳をたえず働かせている反面、足腰はほとんど動かさない生活パターンになりがちです。パソコン作業を続けていると頭の方に血液が集まり、足腰の血液循環が悪くなって頭熱足寒の状態になります。頭がのぼせていると冷えを自覚できずに更に頭熱足寒を助長させてしまう可能性があります。

 筋肉は頭の部分より足のほうが圧倒的に多いので、運動で筋肉の発熱量を高めて下半身を温めましょう。散歩程度の運動でも効果があります。それから、お腹を冷やさないことも大切です。内臓の温度が低下すると、内臓の機能を低下させないように内臓への血液量が増えて手足の血液が減り、手足が冷えてきます。この季節は少し厚手の下着や腹巻きなどでお腹が冷えないようにしたいものです。

 鍼灸治療で気の流れを調和させて上半身と下半身の血流のバランスを調えれば頭寒足熱の体質に改善してゆけます。そうすれば心も体もゆったりとリラックスでき、冷えのぼせに伴う症状も解消できます。

 

 

 

歩くと足が疲れます。でも、心が疲れるよりもずっといい! (室長の健康アドバイス 【奏玲通信2016 初春号より】

2015・12・31玄関の花.JPG あけまして おめでとうございます。

 

今年も新年のお花を近所のお花屋さん「花・太陽・雨」さんで作っていただきました。

今年は気温が高めなので、1月5日の仕事始めまで涼しいベランダで管理です。

温かい穏やかなお正月です。

 

 

 

 

【奏玲通信2016 初春号より】室長の健康アドバイス

歩くと足が疲れます。でも、心がつかれるよりもずっといい!

《筋肉は第二の心臓》

下半身には全身の筋肉の三分の二が集まっています。だから歩くと全身の三分の二の筋肉が活動します。筋肉を動かすと心臓のようなポンプ作用が起きて、皮膚・関節・脳・内蔵など全身の血液循環が良くなります。

《筋肉は水分貯蔵庫》

筋肉はすいぶんを貯めやすい性質があり、脂肪は水分を貯めにくい性質があります。運動不足で筋肉が減って脂肪が増えると体の中の水分貯蔵量が減って脱水症状を起こしやすい体質になってしまいます。

《筋肉は肝臓の働きを助ける》

アンモニアという老廃物は、肝臓と筋肉で分解されて尿に排出されます。運動のためのエネルギー源である糖質はグリコーゲンとして肝臓と筋肉に貯蔵されていて、エネルギーが必要なときには肝臓や筋肉にあるグリコーゲンを分解してブドウ糖を作り出します。運動不足で体の脂肪が増えると脂肪が肝臓や筋肉に溜まり、肝臓の働きや筋肉の力が低下してゆきます。筋力をつけることは肝臓の働きを助けて健康保持増進につながります。

《筋肉は腸の働きも助ける》

腹筋運動は町のたるみを改善するとともに腹部の血行を促進して胃腸の働きを高めます。肛門に十分な圧力をかけて便を押し出すときにも腹筋力は必要です。

《筋力強化はお散歩で》

特別な筋トレをしなくても、歩行リズムに合わせて口から4回吐いてお腹を凹ませて、鼻から2回吸ってお腹をふくらませる腹式呼吸をしながら歩けば筋力が鍛えられます。腹式呼吸をすると横隔膜という筋肉が上下運動します。この横隔膜には自律神経が密集しているため、吸う時よりもゆっくりと多めに息を吐くと副交感神経が優位になり体も気持ちもリラックスします。さらに、口笛を服用に口をすぼめてしっかり吐き出すと、ハイが隅々まで広がり、効率的に酸素を取り込むことができます。

《骨の強化もお散歩で》

歩くことで地面を踏みしめると足の骨や背骨など体を垂直に支えている骨が刺激されます。垂直方向の力が骨に加わると、骨細胞を囲んでいる細胞外液に流れが起きます。すると骨細胞がその流れに反応して骨芽細胞に骨を作るように指令を出します。背筋を伸ばして大きめの歩幅で歩くと効果的です。

《健康のために歩く習慣》

一週間に150分以上が目安です。1日30分を週5回、1日50分を週3回など生活スタイルに合わせて時間を作るといいでしょう。1日30分まとまった時間が取れなければ、10分✕3回に分けても同等の効果が得られます。

★★★さらにに鍼灸治療で筋肉のこりをほぐしたり関節の動きを良くして、スムーズな筋肉運動ができる体つくりをしてゆきましょう★★★

室長の健康アドバイス (奏玲通信2015 冬号より)

風邪の時はお風呂に入ってはいけない??

 平均気温が19℃、湿度が69.4%をそれぞれ下回ると風邪をひく人が増えるそうです。10月以降からその時期に入りましたのでそろそろ風邪の対処法を考えておいたほうがいいでしょう。風邪は鼻から喉までの上気道にウィルスが感染することで発症します。風邪の原因となるウィルスは200種類以上もあります。風邪薬には発熱・頭痛・咳などの症状を緩和させる効果はありますが、原因ウィルスを叩く作用はありません。風邪は免疫力(自然治癒力)でしか治せないので、その力をできる限り落とさないようにして「安静・保温・栄養・水分補給」を心がけて自然に治るのを待つしかありません。

2015・10デルフィニウム&ユーカリ.JPG 

冷え性の人はそうでない人に比べて風邪をひきやすいとされています。体が冷えると免疫力が下がりウィルスに感染しやすくなるからです。古代中国の医学書には

「気と血は温を好み寒を嫌う。寒は気と血を渋滞させて流れを悪くさせる。温は渋滞を解消して気と血の流れを良くする」

と書かれています。

 

 

  今週のお花は「デルフィニウムとユーカリ」です。→

 

 昔よく言われた「風邪の時は風呂に入ってはいけない」最近では必ずしも正解ではないと言われるようになりました。(高熱でふらふらしているときは控えるべきですが)ヒートショックプロテイン(熱ショックプロテイン=HSP)を増やすことで治る力を高めようという方法が注目されています。HSPとはストレスや病気などで傷ついた細胞を修復するタンパク質のことで、リンパ球などの免疫細胞を活性化させると言われています。HSPを増やすには熱ストレスをかけるのが手っ取り早く、愛知医科大学の伊藤要子准教授は「HSP入浴法」を提唱しています。

 それは熱めのお湯(40℃~42℃前後)で10分~20分間程度しっかり体を温める方法です。HSPが増えることで、傷や病気が治りやすくなる・疲れにくくなる・風邪やインフルエンザにかかりにくくなる・低体温体質が改善するなどの健康増進作用があることがわかってきています。入浴後はバスローブなどで全身をくるみ15分ほど安静にします。水分補給もしっかりと行ってください。

←これは先週のお花ですが「ダイアモンドリリー」2015・10ダイアモンドリリー.JPG

よーく見ると花弁の表面がキラキラ光っているんです。

 

 

 

日本でも「湯治」という言葉があるように体を温めることが病気の治療や予防につながることは古くから知られていました。鍼灸治療を受けると、全身の気の流れがよくなってホカホカしてきます。気とは命の原動力ですが、そこには血液やリンパ液も含まれると解釈されています。鍼灸治療で血液やリンパの流れをよくして、『冷え性の改善・風邪からの回復力を高める・風邪の予防』へとつなげていきましょう。

2015・10ピンクッション.JPG その名も「ピンクッション」

治療室の玄関をいつも飾ってくれているのは、ご近所のおしゃれなお花屋さん「花太陽雨」さんのものです。

不思議な魅力をもったお花が多くて、お店の中はワンダーランド。いろいろ相談にものってくださいます。これからも素敵なお花がいっぱい出てくると思うのでお花もお楽しみくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

   

「誰にでもできるツボ健康法とは」 (奏玲通信2015 秋号より)

2015・8・28ギボウシ.JPG 今年も庭のギボウシが咲きました。(2015・8・28)

 書店では「よく効くツボ」「ツボ健康法」のような一般向けの本をよく見かけます。また、テレビやラジオでも「ツボ健康法」というような番組を見聞きすることがあります。それらにおいては「このツボを押せば胃腸の調子が良くなる」とか「このツボは安眠できる」というように、だれにでも簡単にできるやり方が紹介されています。私には「まるでテレビのリモコンの説明みたい」と思えてしまいます。『このボタンを押せばチャンネルが変わります。こちらが音量が上がるボタンです』のような感じで『このツボはこの症状に効きます』というわけです。

 古くから伝わる鍼治療の本には「胃腸は三里のツボ、腰や背中は委中のツボ、顔面は合谷、首や頭は列缺のツボ」という記述があります。これは「この部分の症状にはこのツボを刺激すると効果がある」というようにも解釈できますが、ほんとうの意味は『ツボというのはそれぞれ特定の部分への影響が大きいから慎重に治療しなさい』ということなんです。

 たとえば、三里のツボは胃腸の病気に効果がありますがその反面で、必要以上に刺激したり、治療の必要のない人が三里を刺激すると、腹痛や吐き気食欲不振などの症状が出てきてしまうことがあります。

 東洋医学には「同病異治・異病同治」という言葉があります。同じ病気でもそれぞれの状態に応じて治療するツボや刺激の強さが変わることがあるし、違う病気でも同じツボで治療することもあるという意味です。

 西洋医学においても、個人差に配慮して各個人に最適な医療を提供する「テーラーメード医療」が推奨されてきています。そういう時代であるのに「この症状にはこのツボがいい!」というようにマスメディアから一方通行に「ツボ情報」が流されていることは問題があると思います。

 ともあれ、それぞれの人に適したツボと適した刺激量であれば、自宅でツボ押しをしたりお灸をすることは問題ありませんし、それは健康保持のために良いことです。古くから日本では家族同士でお灸をすえる習慣がありました。また「灸点をおろす」という言葉もあります。これは自宅でお灸をするために鍼灸師が適切なツボを選んで患者さんの体に印をつけてあげるという意味です。私も「どこにお灸をすればいいでしょうか?」と聞かれる患者さんにはその方に適したツボを探して灸点をおろし、その方に適したお灸の方法を教えています。みなさんもお試しになってみてはいかがでしょう。

室長の健康アドバイス(奏玲通信 2015 夏号より)

タケシマユリと半夏生2015・6.JPG 竹島ユリと半夏生

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☆★☆長生き・BMI・後天の気・胃腸の健康☆★☆

 世界では年間260万人の人が肥満を元とする病気で死亡しているそうです。しかし、「ちょい太でだいじょうぶ」(集英社文庫)の著者 鎌田實医師は、痩せている人よりも少し太っている人のほうが健康で長生きするという科学的データーを提示しています。健康診断では肥満度を示す指標としてBMIが用いられることがあります。これは体重(㎏)÷{身長(m)×身長(m)}で算出され、日本肥満学会による成人の基準は18,5未満が痩せ、18,5以上25未満が正常域、25以上を肥満、そして22を標準体重(統計的に最も病気にかかりにくい体重)としています。

 鎌田医師は「『大太』になるほどの太り過ぎは健康が損なわれる危険度が増すが、男女ともBMIが25~30のちょい太の人は脳卒中も心筋梗塞もガンも認知症も少なく長生きしているケースが多い。日本人の肥満は軽度なのに神経質になりすぎている。肥満だけにとらわれずに美味しいものを食べてニコニコ生きるちょい太の生き方がいい」と主張されています。

 人間の命の源は気です。体を流れる気は生まれながらに備わっている先天の気と、空気や食べ物から取り入れる後天の気から構成されています。この二種類の気が調和を保って潤沢に体を巡っている人は大病知らずで長生きの傾向にあります。胃腸が健康で栄養を無理なく摂り入れることができる人というのは後天の気を適切に摂り入れることができるので生命力が充実している人が多いのです。ですからちょい太の人が健康で長生きが多いというのは、東洋医学の観点からも理にかなっているわけです。

 そこで注意したいのが胃腸の健康です。胃腸の不調が続くと食欲がわかず、せっかく食べても腸から栄養をうまく吸収できずに痩せてしまう人がいる一方で、逆に胃腸の不調から過食や早食いになってどんどん太ってしまう人もいます。例えば、腰痛や肩こりで治療に来られる人の場合でも、私は胃腸の調子について問診し、お腹を手で触診します。腰痛や肩こりと胃腸とは関連がないように思われがちですが、胃腸の不調が原因で腰痛や肩こりが現れるケースもあります。

 体表に点在するツボと内臓とは気の流れによってつながっています。そのツボに鍼やお灸を施すことにより、その効果がお腹にも伝わり胃腸の調子を調えることができます。東洋医学の古典には「蒸し暑さは胃腸を傷つける」と書かれています。胃腸の不調から夏バテにならないように鍼灸治療でこの蒸し暑い季節を乗り切りましょう。

 

 

 

室長の健康アドバイス(奏玲通信 2015 初夏号より)

   ピンク色だった治療室前の桜並木もすっかり若葉色です。気候も足早に夏に向かっています。こうした急激な気候の変化に合わせて新年度で新しい環境で頑張ってきた疲れも出やすい時期です。頑張ることは悪いことではないので自信を持ってくださいね。上手に息が抜けるように鍼とお灸もお手伝いします。

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Let's relax and take it easy!  力を抜いて 気楽に生きましょう(^^)

 変化が大きい春から初夏への季節はストレスが増えやすい時期でもあります。ストレスとは心身に過剰な負荷がかかることで、職場や家庭で起こる様々な悩みやトラブルがストレスの原因になることがあります。ストレスが心身に及ぼす影響は、行動面では仕事のミス・事故・暴飲暴食・衝動買い・ギャンブル・喫煙が増える…などとして現れたり、身体面ではめまい・頭痛・アレルギー症状の悪化・高血圧・動悸・胃痛・下痢や便秘・腰痛など、精神面ではうつ状態・不安・イライラなどが現れてきます。

 ストレスがたまっているかどうかを調べる方法にストレスチェック(日本バイオフィードバック学会)があります。「食欲・睡眠・よろこび・疲れ・憂うつ・不安・緊張・体の症状」の8項目について1週間を振り返って自分に当てはまる項目の点数を合計します。「食欲・睡眠・よろこび」のそれぞれでは、全くなかった=5点 ・少しあった=4点  ・まあまああった=3点 ・かなりあった=2点 ・非常にあった=1点です。 「疲れ・憂うつ・不安・緊張・体の症状」のそれぞれでは、全くなかった1点 ・少しあった=2点 ・まあまああった=3点 ・かなりあった=4点 ・非常にあった=5点 です。40点満点で点数が低いほどストレスがかかっていない状態で、24点以上は黄信号でやや注意。32点以上は赤信号でかなり注意とされています。

 がんばりすぎる人、完璧主義の人や真面目すぎる人、何事にも否定的でちょっとした事でも自分を責めてしまう人などはストレスがたまりやすいようです。反対にストレスがたまりにくい人というのは「なんとかなるさ」という楽天的なタイプが多いのでチャランポランな人と思われがちですが、困難において確かな希望と期待を抱きながらも同時にそれに執着しすぎないという絶妙な柔軟性を持って適切な対応が出来る人が多いそうです。

 無為自然を説いた老子は「上善は水のごとし」(こんな名前の美味しいお酒がありますが…笑)と述べ、水のように生きるのが最良の生き方だと説いています。水は決して争わず、丸い器に入れば丸くなり、四角い器に入れば四角になり形にとらわれずに自由自在です。形を持たないからどんな小さな隙間にも入ってゆき、どんな巨岩をも粉々にしてしまいます。物事はおのずからそうあるのだから、作為せず自然に従うことが徳につながる道だと老子は説きます。

 気楽に生きるということは怠けて生きることではありません。人には無為自然の素養が生まれながらにして備わっています。それを確信すればおおらかに生きてやろうという気持ちになれます。鍼灸治療の目的は体を流れる気を調えることです。気の流れを調えて水のような柔軟な心と体を取り戻しましょう。

 上善如水.JPG  これです「上善如水」(*´Д`)

5月3日から5日までお休みをいただきます。先生がこんな原稿を書いたので甘やかしスタッフが買ってきてあげました(笑)ほどよいお酒で気分転換も大事ですね。 

 

室長の健康健康アドバイス (奏玲通信2015 春号より)

 2015お雛様3.JPG 玄関でお雛様が皆さんをお待ちしています

 体調は気分次第?気分は体調次第?

 ~~寝ているのか覚めているのか判然としないまま朝を迎える。なんとなくムカムカして朝食をとる気になれない。トイレに座れば便はうさぎのようなコロコロかはたまたユルユル。電車の中では呼吸がうまくできないし、お腹が痛くなってしまうこともある。午前中はだるくてあくびと溜息ばかり。日中は頭痛がしてきてめまい、立ちくらみ、目の疲れ、肩こり、腰痛が日替わりで出てくる。原因不明の頭痛が続くこともある。夜は疲労こんぱいなのに足が冷えてちっとも寝付けないし、夜半に目が覚めるといろいろ思い浮かんでクヨクヨしてしまう。体が不調だと心にも波及するのか毎日毎日がおっくうでやる気が起こらない。だから何をやってもつまらないし不安。午後になると気分は少し持ち直すが、いろいろ取り越し苦労が出てきてきりがない。体のことが心配になって不治の病ではないかと不安になる。将来の生活まで心配になる。「あーすればよかった」「こんなことではダメだ」と焦りばかりが先に立って自分で自分を鞭打っている~~

 「これって私のこと…」と思われた方も少なくないのでは。心と体の「不調」の主なものを上げてみましたが、これらは人によりランダムな組み合わせで現れるので、これらを「不定愁訴」と呼ぶことがあります。

 不定愁訴は心と体双方の不調が同時進行で現れます。現代医学では心の不調に対しては安定剤や抗うつ剤、体の不調に対してはそれぞれの症状に対する薬が処方されるので、不定愁訴をかかえている人は多種類の薬を飲むことになります。

 東洋医学で言うところの「気」とは命のエネルギー源ですが、「気持ち」「気分」という言葉があるように、気は物であるとともに心でもあります。ですから人が気の集合であるということは、物と心の集合ということでもあるのです。現代医学では精神の座は脳であるとされていますが、東洋医学においては精神は「肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓」の五臓に納められていると考えます。仏教に心身一如(肉体と精神は一体のもので、分けることができず、ひとつのものの両面であるということ)という言葉がありますが、東洋医学でも同じような観点から治療が行われてきました。

 体表に点在する経穴(いわゆるツボ)に鍼灸治療を施すことにより、その作用が五臓にも伝わります。精神を納めている五臓の不調が改善して心も体も軽くなると、初診の時とは別人のように明るくさわやかな雰囲気に変身されます。

    ~~鍼灸治療で心も体も軽やかに!~~

室長の健康アドバイス (奏玲通信2015 初春号 より)

 みなさま、あけましておめでとうございます。

 ひと昔前と比べると新年の風景も様変わりしてきてはいますが、初日の出を拝み、初詣、書き初め、鏡開き、七草粥…一年を穏やかに過ごせますようにという願いはいつの時代も変わりません。健康も日々の積み重ねが大切です。「今年も!」という方も「今年こそ!!」という方もみんなで一緒に体にいいことはじめましょう。

2015正月.JPG

【はじめの一歩は呼吸から】

 手足は冷たいのに頭や顔がカーッと熱くなる「冷えのぼせ」が男女ともに増えています。人の体には、冷えを感じると頭部の温度が下がらないように体温を調節する機能があります。だから手や足が冷えてくると頭を温めようとする働きが起こり、手足が冷えれば冷えるほど頭は熱くなります。また、現代の生活習慣の中には「冷えのぼせ」を助長させる要因がいっぱいです。例えば、パソコン、ゲーム、スマホなどをやっている時は、脳と目はフル稼働で足腰の筋肉は休止状態なので、頭の方に血がのぼったままになって体温の不均衡が生じてしまいます。「冷えのぼせ」は更年期以降の女性に多いと思われがちですが若年層にもみられ、また男性にも少なくありません。

 頭痛・めまい・耳鳴り・鼻づまり・腰痛・肌荒れ・下痢・便秘・寝付きが悪い・夜中に何度も目が覚める・イライラ・不安感など様々な心身の不調に「冷えのぼせ」がともなっていることがよくあります。

 東洋医学の観点から言うと「冷えのぼせ」は陰陽の気の不調和ということになりますが、「歩くこと」と「呼吸すること」は陰陽の気のバランスを調える重要なスキルと言えます。現代医学的な言い方をすれば歩行と呼吸は交感神経と副交感神経のバランスを調えるスキルだと言えます。

                                   (新年のお花はこんな感じになりました。)

 速くて短くて浅くて荒い呼吸では心も体もリラックスできません。まずお腹を使ってゆっくりと吐きます。「呼」が吐くこと、「吸」が吸うことで「呼吸」ですから「呼」が先です。ゆっくりと長く心をこめて吐くことが大切です。そうすれば吸おうとしなくても自然に空気は入ってきます。息を吐くときには副交感神経が活性化するので、心と体はリラックスモードに変わります。歩行のリズムに合わせて、4回口から吐いて2回鼻から吸うというように吐く方を多くします。また、口笛を吹くように口をすぼめてしっかり吐き出すと、肺が十分に広がり効率的に酸素を取り込むことができます。

 歩く姿勢も大切です。歩いてゆく方向に大海原があることをイメージして、左右の目と左右の肩の高さを水平線に合わせて傾きを正します。そして水平線の向こうから垂直に昇る太陽に合わせて背筋を伸ばしてあごを引くと美しい歩き方になります。もし可能でしたら陽の気が満ち溢れる早朝の大気の中を歩いてください。

 鍼灸治療も陰陽のバランス調えます。治療の後「頭がスッキリして足腰が温かくなりました」とみなさん言われます。「冷えのぼせ」の改善の手助けに鍼灸をおすすめします。

 そして、今年はとにかく歩いてみましょう。健康になります。

室長の健康アドバイス (奏玲通信2014 冬号より)

 グラリオサ&ケイトウ.JPG グラリオサリリーとケイトウ

 誰もが持っている力を信じて

 病気やケガの治療で医療機関に支払われた保険診療の医療費の総額(国民医療費)は毎年増え続けていて、39兆円を超えるほどに至っています。高齢化が進んだことに加えて、医療技術が進歩して医療費が膨らんだことが主な原因と言われていますが、病院の待合室を見回してみると「その程度の症状で本当に病院に来る必要があるのかな?」という人も少なくないように思います。命にかかわるとか障害が残るおそれがあるなど、重い病気への治療費は維持しながら全体の医療費を削減するとなると、一般的な医療サービスの水準を低下させるか、国民負担を大幅に増やす以外に解決策はないとも言われています。10年前と比べても国民医療費が9兆円も増えている現状において、国民皆保険制度の維持のためにはサービスの低下もしくは負担の増加を受け入れなくてはならない日は近いかもしれません。

 現代人は風邪を引いたりお腹をこわしたりするとすぐに薬を飲んだり病院へ行ったりします。病気は薬や医者が治してくれるものだと思っている人が多いようです。本当は、病気は自分が持っている「自然治癒力」により治るのですが、現代人はそのことを忘れてしまっています。昔の人は自分の病気は自分が治すということをよく知っていました。古代ギリシャの医師ヒポクラテスは「病気を治すのは患者自身が本来持っている自然治癒力だ」と語りました。東洋医学においても気の流れを調えて人間本来のあり方を取り戻せばあとは自然に治っていくという「無為自然」の考え方が根底にあります。私も体の気を調えて自然治癒力を引き出すことを目的とした鍼灸治療を行っています。自分の中に治る力があることを忘れてしまい、自然治癒力を無視して他の力に頼りっぱなしにならないように気をつけたいものです。

 二千年前の中国で編纂された医学書には次のようなことが書かれています。

~~大昔の人のほとんどは季節の変化に合わせ節度ある食事をして、労働と休息にも規律があり、働きすぎることはありませんでした。それ故に肉体と精神は健やかで盛んであり、本来享受すべき年令まで生きることが出来ました。人々は、心はのどかで欲はなく、肉体の疲労もないので、体の気は調和のとれた流れ方をしていました。それぞれの望むところは満たされ、食べたものを美味しく思い、自分が着ているものを心地よく感じ、生活を楽しみ、地位の高低をうらやむことはありませんでした。だから重大な病に伏せることはなく、皆が百歳を超えることができて、動作にも衰えたところがなかったのです。(黄帝内経・上古天真論篇から意訳して引用)

 いろんな意味で行き過ぎてしまっている現代、少し考えてみる時期に来ているのかもしれません。

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2014 秋号より)

  意外に多い9月の夏バテ

 夏バテの症状で治療室に来られる方は、夏真っ盛りの8月よりも9月に入ってからのほうが多い傾向にあります。夏場の不調が少しずつ積み重なって9月に崩壊するというパターンが見られます。

 夏バテは医学的には明確な定義があるわけではなく、夏の暑い季節にみられる体調不良のことを一般的に夏バテと呼んでいます。症状は様々ですが、だるさ・気持ち悪さ・胃の膨満感・食欲不振・めまい・のぼせなどが現れます。夏バテは暑さにやられるというイメージがありますが、最近の夏バテは暑さそのものよりも外の暑さと冷房で冷えた屋内との環境の変化が体調を崩す原因となることが多いようです。

 食欲不振や気持ち悪さなどの胃腸症状が現れることが多いので、病院で胃腸の検査をする人もいますが、多くの場合、胃腸には問題がないケースが大半です。夏バテとよく似た症状を現すものとして乗り物酔いがあります。頭がのぼせて冷や汗が出てきて、体がだるくなって気持ちが悪くなるというのが乗り物酔いの一般的な症状ですが、夏バテと乗り物酔いで共通するところは、頭がのぼせて手足が冷えている状態になっていることです。

 乗り物酔いの時には、車の窓を開けて涼しい空気で頭を冷やすと少し楽になりますが、夏バテの予防の秘訣も足元は冷やさないようにして頭をのぼせさせないようにすることです。

 眠くなると手足が温かくなるというのが人体の正常な反応です。でも、頭がのぼせて手足が冷たいと熟睡できずに夏の疲れがたまる一方になります。冷房の冷気は足元ばかり冷やします。例えば塾の教室で勉強している子どもたちは足腰はほとんど動かさずに脳と目はフル稼働の状態なので、どんどん冷えとのぼせが強まってしまいます。夏バテになるための条件はそのようなところに潜んでいます。

 散歩や軽いジョギングで下半身の筋肉をよく動かすことにより、筋肉運動にともなうポンプ作用で足腰の血液循環が良くなって冷えが軽減します。暑いからといってシャワーばかりでなく、熱すぎないお湯につかってゆっくり体を温めるのも効果的です。

 鍼治療で気の流れを調和させて、上半身と下半身の血流のバランスを調えると、手足が温まって頭がスッキリしてきます。さらに肩や背中の無駄な緊張を鍼灸治療で改善して疲れがたまらないようにすれば夏バテの改善につながります。

2014・9のお花.JPGリンドウやケイトウのお花が秋を運んでくれました。

 夏号発行から2ヶ月、みなさまお元気でしたか?通信の編集作業はたいてい夜遅くになってしまう^^;のですが、窓を開けていると少し肌寒くなってきました。コオロギの声も聞こえます。この夏は、多くの地域で自然災害が起こり、大変な思いをされている方も多いです。自然の脅威は私達も人事とは思えませんでした。

 被災されたみなさま、どうか健康に気をつけて。夏の疲れが出ませんように。

 

 

室長の健康アドバイス(奏玲通信2014 夏号より)

 2014・7・1.JPG 夏風邪の対処法

 クーラーで足やお腹が冷えて頭がのぼせていたり、クーラーの乾燥した空気で喉を痛めたり、夏バテで免疫力が落ちるなど、暑い季節でも風邪にかかりやすい条件はいくつもあります。私の治療室でも風邪の治療で来られる方は少なくありません。

 鍼灸治療においては風邪に伴う症状を和らげる治療(対症療法=東洋医学では標治法と呼ばれる)も行いますが、治療の第一目的は本治法です。本治法とは体を流れる気を調えて自ら治る力を高めるというもので、これにより風邪からの回復が速まります。

 一般的に風邪と呼ばれているのは普通感冒のことで、くしゃみ・鼻水・咳・頭痛・発熱・倦怠感などの症状を示します。その原因のほとんどはウィルスによるものですが、風邪を起こすウィルスは何百種類もあるので症状も様々です。風邪に伴う症状は体に侵入したウィルスを追い出したり、やっつけたりする病気を治すための免疫の働きですから、それほどひどくない場合は薬などで止める必要はなく、また病院に行く必要もありません。風邪の原因ウィルスを退治する風邪薬は存在せず、病院で処方されるのは、熱を下げる・咳を和らげる・鼻水を少なくするなどの対症療法の薬です。風邪に伴う様々な症状は病気を治すために必要なものなので薬に頼り過ぎないようにしましょう。

 医師の診察が必要なのは「水分も取れない・立ったり歩いたりするのもつらい・睡眠が十分に取れない・特に乳幼児の場合は、ミルクの飲みが良くない・いつもの元気がなく遊ばない・寝かせても苦しそうで直ぐに目が覚める」などの場合です。これは風邪にともなって気管支炎・肺炎・脱水症などが起きていたり、風邪ではない重症の病気の可能性もあるので念のために医師の診察を受けたほうがいいでしょう。保育園や幼稚園に入園したばかりの子どもは、2週間おきくらいで立て続けに風邪を引くことも珍しくはありませんが、その度ごとに抵抗力がついていきます。あまり心配せずに見守ってあげてください。

 風邪を完全に防ぐことはできませんが、帰宅したら手洗いうがいをする習慣をつけてウィルスが体の中になるべく入り込まないように心がけましょう。ウィルスが体に侵入したとしても、適度な栄養・十分な睡眠と休息・規則正しい生活という健康の基本がしっかりしていれば、自ら治る力が高まり風邪が発症しないことにもつながります。

 鍼灸治療で自己治癒力を高めつつ十分な睡眠など安静を保てば、風邪はこじれずに数日で回復します。

室長の健康アドバイス (奏玲通信2014初夏号より)

2014・4・19.JPGわが家の5月人形

柔軟であることの大切さ

 アゴ・コメカミ・首などが痛くなる原因の一つとして TCH が注目されています。これは「歯が接触する癖」という意味の英語の頭文字で、常に上下の歯を接触させている癖のことです。上下の歯が接触するのは咀嚼・嚥下・会話などを行うときに限られます。何もしていない時には唇を閉じていても上下の歯は接触していないのが普通です。ところがTCHがある人は無意識のうちに一日何時間も歯を接触させている傾向が見られます。上下の歯を接触させていると、コメカミや首の筋肉が緊張して顎関節に負担がかかってしまいます。TCHがあると必ず顎関節症が起こるというわけではありませんが、顎関節症の患者さんには高い割合でTCHは見られるそうです。

 TCHの改善のために自分で出来る方法として次の3つが推奨されています。

①癖が筋肉疲労を起こすことを自覚する(上下の歯を軽く接触させて離すことを行い筋肉の緊張を感じ、無意識の行動が自分に負担をかけていることを認識する)

②メモを活用する(メモ用紙に「リラックス・歯を離す」などと書き自宅や職場の目につくところに貼り、それを見たら一回力を抜く)

③上下の歯が触れた瞬間に離す(歯が接触すると気づくようになり、やがて条件反射で無意識に離せるようになる)また、お腹をふくらませながら鼻から息を吸い、ゆっくりと口から息を吐くという腹式呼吸も緊張を緩める手助けになります。歩くリズムに合わせて息を2回吸って4回吐くというのも効果的です。

 

 心と体が緊張していると気の流れはそこで止まってしまいます。リラックスして筋肉が緩むと気は流れてゆきます。体の気の滞りを改善して隅々まで気をめぐらせるということが鍼灸治療の第一の目的です。その結果として心と体の緊張がほぐれていきます。緊張がほぐれると深い呼吸と深い眠りが得られ、蓄積した疲労が取り除かれます。疲労が取り除かれるとさらに心と体の緊張がほぐれていくという好循環を生み出します。

 柔軟であることの大切さについて古代中国の老子は次のように語っています。

  ~~およそ草木にいたるまで生物は生きている時には柔らかくもろいが、死ぬと枯れて硬くなる。だから硬く強いものは死の仲間であり、柔らかく弱いものは生の仲間である。兵が強すぎるとかえって敗れる。木が硬すぎるとかえって折れる~~

 

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2014 春号より)

 

はるうさぎ.JPG 

 注意が必要なシビレ

 一口に「シビレる」と言っても、その言葉にはいくつもの意味が混在しています。「ビリビリ・ジンジン・ザワザワ」という感覚は異常感覚、「皮膚を触っても触られている感じがしない」というのは知覚鈍麻、「手や足が動きにくい」というのは運動麻痺というように分類されますが、これらの異常感を患者さんは「シビレる」と表現されることが多いです。

 シビレが現れている部分には原因はなくて、シビレを起こしている神経の出発点に病気が潜んでいるケースがほとんどなので、その出発点にどのような問題があるかをつきとめる必要があります。

 シビレの原因は様々ですが、そのうちで手足が動きにくいなどの運動麻痺があるときには脳梗塞など脳に病気がある可能性を考慮してより注意深く診察しています。次のような症状が突然現れた場合は脳梗塞を疑ってすぐに救急車を呼ぶ必要があります。

 ①体の左右どちらかの手足が動きにくい(手のひらを上に向けて両腕を前に伸ばそうとすると片側の腕が下る・また腕が下がる側と同じ側の片足で立とうとするとふらついて立てない)

 ②顔の歪み(にっこり笑ったりイーと発音すると左右の広角のどちらかが垂れる)

 ③言葉の異常(ラリルレロが言いにくい・パタカパタカと繰り返すともつれる・言いたいことを言葉にできない・相手の話が理解できず話のつじつまが合わない)

 ④視野の異常(両目で見ても片目で見ても同じ側の視野の半分が欠けて見える)

 脳梗塞は脳の血管がつまる病気で命に関わるだけでなく、手足の麻痺や言語障害などの後遺症を残すこともあるので、専門の病院で早急に対処することが必要です。血栓を溶かして血流を再開させ脳の壊死を最小限に食い止める血栓溶解療法(t-PA療法)で早期に血流を再開できれば、後遺症を軽く、または後遺症を残さずに回復できることもあります。t-PA療法は発症から4時間半以内に行わないと効果が期待できないので、一刻も早く救急車で専門病院へ搬送してもらう必要があるわけです。

 運動麻痺の中でも顔の片側が垂れ下がる顔面神経麻痺や腕が上がりにくくなる橈骨(とうこつ)神経麻痺、あるいは歩いていると足がビリビリ痛くなる坐骨神経痛など、末梢神経障害の患者さんが当治療室にはたくさん来られていますが、そのような症状の場合は鍼灸治療で緊張を緩めて血流をよくすることで良い効果が期待できます。

 治療室の絵 武宮秀鵬(1956~)作 「はるうさぎ」

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2014 初春号より)

  体からのメッセージを聞く

2014お正月の花.JPG

 風邪をひいた時に発熱・頭痛・咳・鼻水などの症状が出るのは「今は細菌やウィルスと戦っているのでおとなしくしていなさい」という体からのメッセージです。これらを解熱鎮痛薬などで取り除けば一時的に楽にはなります。でも、体からのメッセージを無視して薬で症状を抑え込んでしまうと、「微熱や咳がいつまでもなくならない、倦怠感が残る」というような風邪の慢性化を引き起こすこともあります。

 「薬物乱用頭痛」という症状が増えています。これは1ヶ月に10日以上鎮痛薬を服用している人に頭痛が頻繁に起こるというものです。体からのメッセージを無視して薬で抑え込んでいるうちに、頭痛を鎮めるはずの薬が痛みを引き起こしてしまうという本末転倒な現象です。

 明治初期の漢方医和田啓十郎は、病に対して次のように述べています。

~~もし病毒が人を冒すと、これに対して反応作用を起こして対抗しようとする。その反応作用は発熱・喀痰・嘔吐・下痢・化膿・下血などの症状として現れる。そのようなものを「疾病」と人は呼んでいる。疾病というのは、病毒に対する自然治癒力の反応作用であり、病になるために症状が出るのではなくて、病を癒すために症状が出るのだということを知らなくてはならない~~

和田啓十郎著「医界の鉄槌」から意訳して引用

 体からのメッセージは体が病と戦っていることの現れであり自然治癒力が働いていることの証です。病苦の峠は健康を呼びもどすために通らなくてはならない道なのです。はり師は自然治癒力を高めるために鍼灸治療を行います。鍼灸治療の場合は、体からのメッセージを尊重して自然治癒力を高めて、根本的・全体的な治癒へと導きます。一般的な風邪なら鍼灸治療をしつつ体からのメッセージに逆らわずに安静にしていればより早く回復してこじれることもありません。

 これからの季節、鍼灸治療で体の免疫力を高めておくことをおすすめします。ぜひお試しください。

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2013 冬号より)

 頭寒足熱は安らぎモード

 日本において睡眠薬を飲んでいる人は約六百万人で、その数は増加傾向にあるそうです。現代社会はストレス社会とも言われていますが、ストレスが心と体に影響を及ぼして不眠を訴える人が多くなっているのではないでしょうか。また、昼夜の自然なリズムを無視した24時間社会も原因のひとつのようです。つまり、不眠症は現代社会特有の病とも言えるでしょう。睡眠薬は脳の働きを低下させ、脳を眠りやすい状態に導くことによって睡眠を促します。これは普通の眠りとは少し異なり、軽い麻酔にかかって眠らされている状態とも言えます。ですから、睡眠薬を使って眠ることができても充実した深い眠りを得られなかったり、朝目覚めた時に寝不足感が残ってしまうことが多いようです。薬に頼らずに眠りたいというのが不眠に悩む人の切なる願いです。

お散歩2013・10.JPG

我が家の朝のお散歩は朝の5時ころスタートです。最近は日の出が遅いのでもう「夜」ですね(笑)

 

 不眠は現代社会特有の症状だとされていますが、二千年前に中国で編纂された『黄帝内経』という医学書には不眠の原因や治療法についての記述があるので、昔も不眠で悩んでいる人は少なくなかったようです。それによると、不眠は陰陽のバランスが崩れて体を流れる気(血液も含む)が陽の部分(上半身、特に頭部)にうっ滞してのぼせることが原因だと書かれています。頭が熱くて、足が冷えて、胸がドキドキして、呼吸が浅くなると、体は疲れているのに寝付けなかったり、浅い睡眠のまま朝を迎えることになります。日中は血液が頭に集まり活動モードになっていますが、夜になると血液が手足に降りてきて手足が温かくなり、いわゆる頭寒足熱の状態になります。これが自然の眠りのための条件です。

 睡眠薬で眠っても頭が活動モードになっていると深い眠りは得られず目覚めの時に寝不足感が残ってしまいます。のぼせを改善するためには集まりすぎた血液を全身に巡らせてあげることが必要です。散歩で足を動かすと筋肉のポンプ作用で足腰の血液循環がよくなります。お仕事の合間に椅子に腰掛けたまま足首をぐるぐる回したり、足の指の曲げ伸ばしをするだけでも血液循環が良くなります。また、歩きながら口をすぼめて4回息を吐いて鼻から2回吸うという腹式呼吸をするのも効果的です。

 合わせて鍼灸治療で気の流れを調和させて、上半身と下半身の血流のバランスを調えること、すなわち自律神経のバランスを調えることも頭寒足熱への近道になります。

  ~~ちょっとそこまで歩いてみませんか~~

お散歩2013・10・28.JPG

お散歩が終わる6時すぎようやく明るくなってきます。これからますます日の出の時刻が遅くなるのでだんだん『朝だけど夜みたいなお散歩』になるんです。光り物たくさんつけて歩きます。

 

 

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2013 秋号より)

出番を待つ植物たち.JPG

 

~~ 千の風になって あの大きな空を ~~

 ヨーロッパのアルプスの氷河から五千年前の男性のミイラが発見され、その皮膚からお灸治療の痕跡が見つかりました。現代日本で行われている鍼とお灸の治療法は古代中国を起源としています。五千年前のヨーロッパのお灸と古代中国のお灸とが関係があるかどうかは謎ですが、世界各地の伝統医術においては、「生命の誕生の時に肉体に命を吹き込むもの。死の瞬間に出ていくもの」というような、生命エネルギーを前提とした治療が行われてきました。そのような生命エネルギーをインドの伝統医学ではプラナ、中国では気と呼んでいます。現代西洋医学では、そのようなものは存在し得ないものだと無視されてきましたが、現代の日本では、気を補い調えることを目的とした鍼灸治療において伝統的な方法が受け継がれています。

 

      治療室の玄関などにおいている植木鉢たち。 →

     一日交代で日差しのあるところに移してあげます。

 東洋医学の哲学は「人の命をどのように全うしていくか」からスタートするので、「命とは何なのか」が問われることになりました。宇宙を満たしている気と、人の生命の根源である気を同じものととらえるのが、老子や荘子における万物生成の考え方です。すなわち、宇宙の根源は混沌状態の元気であり、この元気から陰の気と陽の気が分かれて、そこから生命が生じてくると考えます。また、「人の生命は気の集まりである。気が集まったのが生命であり、消散したのが死である」とも説かれています。宇宙では気が集まったり散じたりしています。生命はそういう気の流れが作り出す現象だと考えます。

 

 「あの大きな空を 吹きわたって…」と歌う『千の風になって』は、もしかするとそのようなことをイメージしているのではないか?実はこの原稿を書いている時たまたま流れていたメロディーを聞きながらピーンときました。

 「お元気ですか?」の元気も、もともとの意味は生命を形成する根源的な元素ということで、気が正常な状態にある健康な人を元気といい、気が病んで引用のバランスを崩し不調和な状態を病気と呼びます。

 私の治療室には痛みやコリだけではなくて、「風邪をひいた」「胃の調子が悪い」「生理が不規則」「だるくてやる気が出ない」「気分が落ち込む」…など様々な症状の方が来られます。このような症状に対しては、鍼とお灸で気を補い、経絡(けいらく=気の流れ道)の気の流れを調えて、自然治癒力を高めてあげることが必要なのです。

 「…秋には光になって 畑に降りそそぐ…」宇宙から豊かな実りの気が降り注ぐこれからの時期、存分に受け止められるように鍼灸で気を調えてみませんか。

  

室長の健康アドバイス (奏玲通信2013 夏号より)

 

☆彡☆彡押さえ込むより引き出すことが大切☆彡☆彡

 「盲導犬はストレスが多いから長生きできないんですよね」と言われることがあります。盲導犬の死亡年齢調査によると、盲導犬の平均寿命は12歳11ヶ月という結果が出ています。一般の家庭犬の平均寿命は11歳9ヶ月ということなので、盲導犬の方が長生きが多いということになります。

 10歳ころに盲導犬を引退してから、15歳や16歳を過ぎても元気に暮らしている犬たちは少なくありません。盲導犬は定期検診をしっかり受けているし、食事管理もばっちりでメタボではないし、それよりなによりストレスの少ない生活をしているから長生きできるのでは!と私は思います。

  盲導犬も家庭犬も同じことですが、犬というのは嫌なことや怖いことはしたがりません。盲導犬の訓練では厳しく叱りつけて、犬の本性を押さえ込んで、やりたくないことを無理強いするようなことはしません。頭脳明晰な犬だけが盲導犬になっているわけではなくて、人と一緒にいることが大好きで、歩くことが大好きで、おだやかで優しい性格の犬たちが盲導犬として活躍しています。訓練においては、そのような特性を伸ばしてあげるように、うまく出来たらたくさんほめてあげながら練習を積み重ねます。だから盲導犬は人と一緒に街を歩いたり、電車に乗ったりすることが楽しくて仕方がないのです。

 「つらいけど我慢して仕事しなくては…」なんて思ってストレスを感じている盲導犬はいないと思います。

 鍼灸治療も同じようなことが言えます。鍼という金属で刺激を加えて、コリや痛みを押さえ込むものだと思っている人が多いので、『鍼は痛くて怖い』というイメージが一般に流布しています。

 当治療室では非常に微細な刺激の治療をしているので、刺される痛みはなく、むしろ心地よさを感じる方がほとんどです。だからこそ心身がリラックスして、血液循環が良くなって、冷えている部分が温まり、熱っぽい部分はさっぱりして、それにともない自然治癒力が引き出されます。無理やりに強い刺激を加えなくても、無理なく自然に治ってゆくものなのです。

 ちなみに、レオもレノも鍼治療を受けているときは気持ちろさそうにトロンとしています。

 

ゴージャスな兄弟40.JPG

 (先生も7月からポロシャツでクールビズ)

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2013 初夏号より)

☆彡  眠りと目覚めのリズムをととのえる ☆彡

 なかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めてしまった時というのは「寝なければ…」と思えば思うほど些細なことが頭をめぐり、いつまでも眠りにつけずに時間だけが過ぎてしまいがちです。望ましい睡眠時間には個人差がありますが、最近の医学研究によると、睡眠時間が極端に短い人だけでなく8時間以上の睡眠をとっている人も、高血圧や糖尿病になる確率が高いことがわかっています。睡眠時間が6時間半から7時間半の人が、それよりも睡眠時間が短い人、長い人より6年後に生存している確率も高いのだそうです。つまり、睡眠時間というのは短過ぎても長すぎても健康は良くなくて、6時間~7時間の睡眠が望ましい睡眠時間と言えそうです。その望ましい睡眠時間を目標に無理のない時間だけ眠るように生活を見直すことが大切です。

 脳には眠りと目覚めのリズムを調整する体内時計があり、それは1日約25時間のリズムであるため、放っておくと毎日1時間ずつのズレが生じます。このズレを修正してくれるのが太陽の光です。起床して太陽の光を浴びると体内時計がリセットされます。そして朝日を浴びてから15時間後に眠くなる仕組みになっているので、遅く起きて太陽の光を浴びる時間が遅いと、早めに寝ようと思っても眠気が生じにくいわけです。

 就寝時間に関わらず朝は6時か7時に目覚めて太陽の光をしっかりと浴びましょう。そうすれば、日中は脳に血液が集まって目覚めのモードになり、夜は内蔵などに血液が集まって眠りのモードになるという健康的な心身のリズムになります。

 鍼治療は自律神経を調和させて、眠りと目覚めのリズムを調えます。二千年前の鍼医学の本には次のように述べられていて、大自然のリズムと調和した眠りを提唱しています。

 ~~春は少し遅く寝て少し早く起き、庭に出てゆったりと歩き、体を柔軟にしなさい。夏は少し遅く寝て夏の日差しを嫌がらずに早く起き、秀でた能力を夏の花のように開きなさい。秋は早く寝て鶏とおもに早起きして心安らかに過ごしなさい。冬は早く寝て日の出を待ってから遅くに起き、感情は内に納めて静かに過ごしなさい~~

 

桜台公園.JPG今、日の出は5時ころ。暑くもなく寒くもなく気持ちのいい時です。6時ころには優しい日差しが浴びれますよ。とても気持ちがいいのでオススメです。 

 

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室長の健康アドバイス (奏玲通信2013 春号より)

 

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 ずいぶん前のことですが、ジャズピアニストの板橋文夫と神奈川フィルとの共演を聴きに行きました。その年はデューク・エリントン生誕100年の年で、エリントンのナンバーに焦点をあてた企画でした。ジャズピアノとオーケストラの共演は大変素晴らしくて、ホール全体に感動の渦巻きが起こっていたことを鮮明に憶えています。でも、最初の1曲だけは板橋文夫は出てこないで、意外にも武満徹の交響曲が神奈川フィルによって粛々と奏でられたのです。後でパンフレットを見たら武満はエリントンを敬愛していたとのこと。この演奏も素晴らしくて、それまで武満作品はCDでしか聴いたことがなかったのですが、生のオーケストラの音はCDでは出せない響きが伝わってきて目から鱗が落ちるような感動を覚えました。

 その何年かあとに武満徹のエッセイを読む機会がありました。そのエッセイ集には彼の音楽に対する思いが綴られていました。武満徹の音楽は感じたままを余計な装飾はせずに素直に音に置き換えているように思います。すなわち、湧き上がる命の響きを素直に音に置き換えているのでメロディーの美しさ以上に音の響きの美しさが際立つのではないかと、このエッセイを読んでそして神奈川フィルの演奏を思い出しながら感じました。

 ~~自然界には、目に立つ激しい変化もあれば、目には見えないが変化し続ける形態というものがある。私はその中で、どちらかといえば目に見えないものに目を開き、それを聴こうとする人間かもしれない。私の信号が他の信号と出会い、それによって起きる物理的変調が、二つのものをそれ本来とは異なる新しい響き、ハーモニーに変える…。 武満徹著 「私たちの耳は聞こえているか」 から抜粋要約

 鍼灸治療の目的は気の調和です。奏玲治療室の「玲」という字には美しくさえた音が響きわたるという意味があります。気の流れが調えば命は美しい響きを発します。そうすれば天地自然の気と共鳴して心と体が健康のハーモニーを奏でるのです。

 奏玲治療室が青葉台で開業して10年目に入ります。常に患者さんの体の声を聞きみなさんの健康作りのお手伝いができるように、これからも日々精進してゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

室長の健康アドバイス (奏玲通信2013 初春号より)

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あけましておめでとうございます。

今年も健康でうれしいことが

たくさんありますように!! 

 

 

 

 

 

 

 

千両の実を食べようと大きなお口のヘビさんです。

 

 鍼はなぜ細くて尖っているの?

 私が使っている鍼は、長さが4センチで太さは0.16ミリです。髪の毛は太い人で0.15ミリだそうですから、鍼の太さは髪の毛よりほんの少し太いくらいです。献血で用いる注射針の太さは、外径が1.2ミリで内径が0.94ミリなので、「鍼」は注射針の中に楽々入ってしまうほどで、息を吹きかけるとたわんでしまうくらい繊細です。この繊細な鍼を自由自在に操るために、鍼師たちは日々の修練を怠ることはありません。鍼の操作に熟練してくると、風船玉に鍼を刺しても破裂することはなく、鍼が刺さったままの風船玉は空気が抜けることはありません。

 鍼を体の中に深く刺す治療法もありますが、私は深く刺すことはしません。深く刺して強く刺激したほうがより効果が上がると思われがちですが、皮膚の表面に鍼先を接触させる程度でも十分な治療効果があります。東洋医学では「気」という生命のエネルギーが体を流れていると考えます。この考え方からすると、ツボ(経穴)に鍼の先を接触させるということが重要な意味を持ちます。

 ノーベル物理学賞受賞者で「トランジスタの父」と呼ばれるウィリアム・ショックレーが唱えた理論が、「なぜ鍼を深く刺さなくても効くのか」を説明してくれています。昔の鉱石ラジオは、金属鉱石に針を当てながらよく聞こえる場所を探ったそうですが、それが点接触ダイオードの始まりです。鍼も治療者が手に取ることで鍼先に「気」というエネルギーが集まり、治療者から患者へ、患者から治療者へと気のエネルギーが伝わります。鍼先を患者の適切な経穴に接触させることはショックレーの原理そのもので、「だから鍼は効くのだ」ということが電気工学の専門家に言わせれば当たり前の原理になります。

 体を流れる気を調和させれば自然治癒力が高まります。そのためには深く刺して強く刺激する必要はありません。

 余談ですが、軍事力を強化すれば抑止力が高まるというのも一理ですが、相互の気を調和させれば平和維持力が高まるという当たり前の理屈も忘れないようにしたいものです。気は心も体も潤してくれるのですから。

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2012 冬号)

健康保険と鍼灸治療  ~~当治療室で健康保険を扱わない理由~~

 「健康保険は使えますか」という問い合わせをいただくことがあります。鍼灸治療で医療保険(国民健康保険などの公的保険)の対象になるのは、頚肩腕(けいけんわん)症候群・五十肩・腰痛・神経痛・リウマチ・頚椎捻挫(けいついねんざ)の6疾患です。しかし、当治療室ではいくつかの理由により医療保険は取り扱っていません。

 医療保険で上記の6疾患を鍼灸で治療するためには、まず医師の診察を受けて同意書を書いてもらう必要があります。しかし、ほとんどの医師は同意書を書く事に消極的です。鍼灸治療について積極的な考えを持つ医師も増えてきてはいますが、日本の医師の大半は鍼灸治療についての知識が乏しく、また同意書を書くということは医師には治療できないから鍼灸治療にゆだねるという意味合いがあるので、あえて同意書を書くということはしたがらないのかもしれません。

 医師の同意書が得られても、同じ疾患について鍼灸院と病院とで医療保険の併用は認められていません。当治療室に来られる患者さんは、病院で同じ疾患の治療を受けていることが多いので、医療保険による鍼灸治療が事実上不可能なケースが大半なのです。

先生とレオ.JPG

 医療保険で支払われる金額は当治療室の治療費の3分の1程度なので、患者さんから差額をいただかなくてはならなくなります。しかし、法律を厳格に解釈すると、差額をいただくことも違法となる可能性があります。「差額をいただかないで、保険の範囲内で、疾患のある部分だけを治療すればいいのでは」という意見もありますが、全身的に体調を改善していかなくてはその部分の改善は期待できないので、部分だけの治療をしておしまいというわけにはいかないのです。また、当治療室に来られる患者さんの疾患は多岐にわたっているので、対象となる6疾患だけに医療保険が適用されてその他の患者さんには適用されないという不公平が生じることも不本意なことです。

 全身的に気の流れを調和させて自ら治る力を高めることが鍼灸治療の真骨頂です。その目的にかなった医療保険制度が実現できればいいのですが、そこまでにはまだまだいばらの道が続きそうです。私に出来ることは「保険はきかないけれど、保険以上の治療をする」ことです。ぜひお試しください。

(交通事故等の賠償責任保険の場合は保険会社より治療費が支払われる場合があります)

室長の健康アドバイス (奏玲通信2012 秋号より)

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お花屋さんに名前は聞いたんですけど忘れました…(笑)

やさしい鍼

 「氷をアイスピックで砕く」「水のつまりを棒でつついて流す」「土を桑で耕して柔らかくする」など、砕いたり流したり柔らかくする方法はいろいろあります。鍼治療というのも、それと同じような要領で筋肉に鍼を刺して、刺激を加えてコリや痛みを取るものだと思っていませんか?

 命ある心と体というのは、氷や土のようには簡単にいかないものなのです。太くて長い鍼を用いて、より深く刺して、より強い刺激をかければ頑固な痛みが取れるというものではないのです。まあ、少しは取れるかもしれませんが、強い刺激を受けた心と体はかなりのダメージも受けることになります。

 私は鍼を深く刺して強く刺激するようなことはしません。鍼はいくら細くても縫い針のような形状なので、刺そうと思えば筋肉の中にまで入りますが、そんなに深く刺さなくても十分な効果が現れます。なぜかというと、治療点であるツボは体表の浅い部分にあるからです。

 生命エネルギーである「気」は経絡というルートを通って全身をめぐります。経絡に沿って経穴(いわゆるツボ)が点在しています。皮膚の表面において、気が体の奥の方から湧き上がってきたり、奥の方へ流れ込むポイントが経穴です。針の先端には気が集まります。鍼の先端を経穴に優しく当てるだけで、その影響が体の奥の方にまで行き渡ります。とくに、子供の場合は気の流れがデリケートなので、先端が球状の特殊な鍼で経穴に軽く触れるだけで効果が現れます。ですから注射みたいに痛くないし、怖がる必要は全くないのです。

 二千年前に書かれた中国の医学書には「大自然の変化に応じた生活をして、また気候の変動に注意して、心は安らかで静かであれば、病が襲うことはない。鍼というのは生命のリズム(人の気)と大自然のリズム(天地の気)とを調和させて、病気の予防や治療をするための道具である」と説いています。私は鍼を優しく経穴に当てて気の流れを調和させようと働きかけます。すると自然治癒力が高まり、心と体は治る方向へと自ら歩み始めます。

 日々の生活の中で、疲労を感じたり、気分が落ち込んだり、風邪かなと感じたり、コリや痛みを感じた時に、風邪薬や鎮痛薬ばかりに頼るのではなくて、大自然の気と同調するような生活パターンを意識してみてください。調和のとれた気の流れになれば、病気になりにくい体質に変貌してゆきます。はりとお灸でお手伝いします。

室長の健康アドバイス (奏玲通信2012 夏号)

自分の職業を名乗ることの意味


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 (←竹島ゆりです)

私は奏玲治療室において「はり師」「きゅう師」として、皆さんの健康保持・増進のために日々働いています。ちまたには、「鍼・マッサージ・指圧・柔道整復・接骨・整体・カイロ・リフレクソロジー・もみほぐし…」等々、種々の看板を掲げたお店が雨後のたけのこのような状況です。「こり・痛み・疲れを解消する。リラックス効果」というのが概ね共通した謳い文句ですが、何の資格で何をしているのか?と疑問に思うことがあります。

 マッサージや指圧治療院で働く人は「あん摩マッサージ指圧師免許」、鍼灸治療院で働く人は「はり師免許」と「きゅう師免許」、接骨院で働く人は「柔道整復師免許」という4種類の免許があります。これらは所定の学校で医学や技術の専門科目を3年以上学び、国家試験に合格したものだけが厚生労働大臣から免許を受けることができます。施術所を開設するには保健所への届出義務があり、衛生・安全設備等が所定の基準を満たしていなければ認可されません。これらの免許は「業務独占・名称独占」という位置づけなので、その免許を有するものだけが患者さんへの施術ができ、「はり師」とか「柔道整復師」と名乗ることができます。このような法的規制があるので、例えばマッサージを自分で勉強したり、お師匠さんから学んで技術を習得したからといてって、勝手に「マッサージ師」を名乗ることはできません。

 看板をよく見ると、「はり・きゅう」とか「マッサージ・指圧」とか「柔道整復・接骨」と書いていないお店もたくさんあります。似たようなことをしていても「マッサージ師ではなくて整体師です。マッサージではなくて整体をしています」といって営業していることも少なくないようです。このような場合、法的位置づけがないので保健所への届出義務もなく、衛生・安全基準もありません。

 もちろん、免許を持っていなくてもその道において高い技能を発揮している人もいますが、国家資格という一定のハードルがないので玉石混淆の状況です。このような現状で人々の健康保持・増進が大丈夫なのかと心配しているのですが、私は有資格者としての自覚と責任を常に持って患者さんの治療にたずさわっていきたいと思います。

室長の健康アドバイス (奏玲通信2012 初夏号)

目的は自然治癒力を高めること

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 私は鍼をする前に患者さんの手首の脈を診ます。これは脈診というもので、東洋医学の伝統的な診察法です。脈診は、脈が速いか遅いかだけではなく、血管が硬いか柔らかいか、太いか細いか、たるんでいるか引き締まっているか、浮き上がっているか沈み込んでいるか、拍動が強いか弱いか等々、いろいろな側面から観察します。

 手首の脈は全身の気の流れを投影するので、気の流れがどのような状態であるのかを脈診で知ることができます。例えば、脈が硬いというのは気の流れが滞りがちなこと、脈が弱々しいのは気が不足していること、脈がたるんでいるのは気が体の外に漏れ出ていることを意味しています。脈の状態に応じて、どこの経穴(いわゆるツボ)にどのような方法で鍼をするか決めてゆきます。

 鍼の先端が尖っている理由は、皮膚を貫いて刺し通すためだけではありません。鍼の先端には気が集まります。鍼先が細く鋭利であればあるほど、それだけ収れんして濃厚な気が集まります。経穴は皮膚の表面にあるので、体内と対外との気の出入口になっています。経穴に鍼先を接触させると治療者と患者さんとの間で気が交流し合い、気の流れの状態が変わるので、脈の状態も変わります。鍼を用いて不足している気を補ったり、不必要な気を取り去ったりして、体を流れる気の過不足を調整します。気の不足や滞りが改善して、硬くて速い脈が柔軟で落ち着いた脈になるなど、脈も健康的な状態になります。

 脈の状態が良くなるというのは、全身の気が調和し自然治癒力が高まることを意味しています。鍼で神経を刺激して痛みの感覚を麻痺させるとか、筋肉を強く刺激して緊張を取り除いていくという目的ではなくて、鍼は気の流れを調和させて自然治癒力を高めるために用いるのです。

 治療の最後に再度脈診をして、脈が良い状態になっていることを確認して治療を終えます。

治療の終わりは治癒の始まりです。

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信 2012 春号より)

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元気な命を育むために

 夫婦ともに不妊の原因はないのに、人工授精を試みても子供ができないという方が来室されることがあります。 また、逆子の妊婦さんも来られます。そのようなみなさんに鍼灸治療をしていて、「妊娠しました!」「逆子が治りました」とご報告を受けるのはとても嬉しいものです。そのとき、「鍼灸の力はすごい」とか「先生のハンドパワーは素晴らしい」などと言って下さるかたもいらっしゃいますが、本当は鍼の力や治療者のハンドパワーで胎児が回転するわけではないし、妊娠のための特別なツボに鍼を刺せば子どもができるというわけでもないのです。

 お腹の赤ちゃんは寝相がわるいので、あちこち動き回って居心地の良いところで寝ています。逆子ちゃんのお母さんは、足や下腹部が冷えていたり、頭がのぼせていたり、眠りが浅かったり、肩や腰がこっていたり…と、いろいろな症状をお持ちの方が多いものです。そのような場合、お腹の中にいる赤ちゃんにとっては頭を上にすることが一番寝心地がいい姿勢らしいのです。ですから、鍼灸の治療でお母さんの様々な症状を改善してあげれば、赤ちゃんは自分から頭を下に向けて安心して眠るようになります。

 また不妊についても同じようなことが言えます。子供というのは作るものではなく「授かる」ものだと思います。人工的な受精を試みる前に、赤ちゃんが安心して眠ることができて順調に成長できるお母さんの体調作りが必要です。そうすれば赤ちゃんの国で「このお母さんの子供になりたい」と思っている命が、安心してお腹の中へと降りてくるのではないでしょうか。

 二千年前の中国の医学書に次のような記載があります。「人は大地に生まれ、その命は天(宇宙)につながっている。天の気と地の気が合したものを「人」と呼ぶ。人が四季や一日のリズムに順応していれば、天と地は父母のように人を育んでくれる。天と地をめぐる気の変化に順応している人は自然界のリズムを見失うことなく、体をめぐる気が滞りなく流れていれば病気にならない。」(『素問・宝命全形論篇』からの意訳)

 鍼灸治療で気の流れを調えて大自然のリズムと調和して元気な命を育みましょう。

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2011 冬号より)

癒えるまでの道

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 人は様々な出来事を積み重ねて心身の成長と成熟を遂げてゆきます。経験とは、出来事に出会うこととか、能動的にふるまうことだけではなく、そこには他者からの働きかけを受けたり、苦しみを受けるなどの受動的な事柄も含まれます。このようにして、人は現実がもたらす様々な障害の中をあちらこちらの壁に突き当たりながら生きてゆき、経験を自分のものとして獲得してゆきます。

 ギリシャのことわざに「苦しみを受けたものは学びがある」というのがあるそうです。ここには人が経験によって学ぶというのは、何かを体験することだけではなくて、人生において被る苦しみを自分のものとして受け容れることなのだということが示されています。

 人が生きていくうえで、病は大きな苦しみとなることがあります。明治初期の漢方医 和田啓十郎は病について次のように述べています。

  「…もし、病毒が人を冒すとこれに対して反応作用をおこして抵抗しようとする。その反応作用は、発熱・喀痰・嘔吐・下痢・化膿・下血などの症状として現れる。そのようなものを人は「疾病」と呼んでいる。疾病というのは、病毒に対する自然治癒の反応作用であり、病になるために症状が出るのではなくて、病を癒すために症状が出るのだということを知らなくてはならない」(和田啓十郎「位階の鉄槌」から意訳して引用)

 出ている症状というのは、身体が病毒と戦っていることの現れであり、自然治癒力が働いていることの証です。病苦の峠は健康を呼び戻すために通らなくてはならない道なのです。医師や鍼灸師は自然治癒力を助けるために、薬や鍼灸を用いなければなりません。自然治癒力が十分備わり病毒と対抗する力が十分であれば、病苦の峠越えはそれほど困難なことではありません。

 鍼灸は自然治癒力の維持・向上にとても良いと思います。私もお手伝いしますが、やはり一番大切なのはご自身の日々の積み重ねです。これから年末に向けて慌ただしくなってきますが、自分の心と体をいたわる気持ちを忘れないで過ごしたいものです。

室長の健康アドバイス (奏玲通信2011 秋号より)

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痛むところを「冷やす」方がいい場合と「冷やさない」方がいい場合

 打撲や捻挫などの直後は、組織損傷によって形成されるプロスタグラシン(発痛物質)の作用によって、「熱感・発赤・腫れ・じっとしていても痛む」など、急性期の炎症症状が現れます。そのような場合は、まず第一に安静にしてなるべく早めに、2時間から3時間以内に限定して、氷嚢や冷湿布で冷やしてあげると効果的です。

 お医者さんが出してくれる冷湿布は、患部を冷やす成分に加え、インドメタシンやケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤が配合されているものが大半です。この消炎鎮痛剤はプロスタグラシンが体内で作られるのを抑制して、熱感や腫れ痛みを鎮める効果があります。その反面、手足の冷え、・じんましん・喘息の誘発などの副作用を引き起こす場合があります。

 腰や関節が痛くて湿布薬を張っている方が治療室に来られますが、「湿布薬の効果を感じない」と言われる方が少なくありません。そう言われる方にいつから痛みがあるのかたずねると、「数日前から」とか「何週間も前から」中には「もう何年も痛みが続いて…」と話される方が意外と多いのです。

 急性期とは受傷してから72時間(文献によっては48時間)以内のことを言います。その時期を過ぎている慢性の痛み、冷え性やストレスによるこりや痛みというのは、患部が冷えていて血行が悪く、筋肉や腱が固くなっている状態で、急性期の炎症とは異なる状態なのです。

 そのような状態の時に、患部を冷やし続けたり消炎鎮痛剤を使い続けると、かえって回復を遅らせてしまうことになります。むしろ患部を冷やさないようにして、血流を良くして、新鮮な酸素や栄養を供給してあげる必要があるのです。そうすれば自然治癒力(自ら治る力)の働きによって、コリや痛みが徐々に緩和していきます。

 古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、「病気を治すのは患者自身が本来持っている自然治癒力である」と語りました。東洋医学においても、気の流れを整えて人間本来のあり方を取り戻せば後は自然に治っていくという「無為自然」の考え方が根底にあります。私も「患者さんの自然治癒力を引き出す」ことを常に念頭において治療にあたっています。

 

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2011 夏号)

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更年を生きる

 更年期というと、40歳代後半くらいからの女性に特有なものとされていますが、必ずしもその年代に限られるものではなく、また男性にも更年期はあると考えてもいいと思います。だれでも一生のうちには、肉体的な変化をする時期が何回もありますし、社会的環境の変化によって心と体が影響を受ける時期もあります。そのようなものも更年期と呼んでいいのではないでしょうか。

 2千年前に書かれた『黄帝内経』(こうていないけい)という東洋医学の本には、人の成長・成熟・老いの過程についての記述があります。それによると、女性は7年ごとに男性は8年ごとに、心身が大きく変化する更年の時期が訪れるというのです。そして、 それぞれのときに応じた無理のない生活と養生法をしていれば、健康的な人生を送ることができると説かれています。

 そう考えてみると、子どもにも更年期があるといえるでしょう。離乳食を食べ始めて歯やあごが発達し、つかまり立ちをし始めたりすると、急速に知能が発達して、いろいろな物事に興味を持ち始めます。その時期に、夜泣きが多くなったり、人見知りをするようになったり、些細なことが気に入らなくて、激しく泣きじゃくることもあります。そのような赤ちゃんの行動を「疳の虫」と呼ぶこともありますね。あるいは、小学校に入学して体は大きくなってきたのに、相変わらずおねしょをしているというのは、その子にとっての更年期といえるのではないでしょうか。早送りのフィルムのように心と体が変化する思春期は「心身の更年期」といえるでしょうし、進学して5月病になりやすい時期や、就職や退職する時期など「社会的更年期」ともいえるでしょう。

 このように、更年の時期は社会生活をしている私たちには数年おきに必ず到来するものなのです。これは、高い飛躍を控えたチャンスの時期でもあり、より深みのある人生へのチェンジの時期でもあります。その反面、心身のバランスをくずして、病気になりやすい時期でもあるわけです。「更年を恐れるなかれ!」鍼とお灸で全身の気の流れを整えて更年期を健康的に心豊かに過ごしましょう。

 

室長の健康アドバイス  (奏玲通信2011 初夏号)

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 ロハスへの道

 最近、ロハス(LOHAS)という言葉を時々耳にします。これは「環境と共存しながら健康的で無理のない生活をし続ける」という意味の英語の頭文字を取ったものだそうですが、古代中国においても同じようなことを考える人たちがいました。道家の根本思想を説いた『荘子』という書物には、次のような寓話が記されています。
~~ある日、南海の帝と北海の帝が中央の帝の池でめぐりあった。中央の帝はこの二人を手厚くもてなした。そこで二人の帝は中央の帝にお礼をしようと考えた。
人間には目と耳と鼻と口という穴があいている。しかるに中央の帝にはそうした便利なものがない。せめてもの恩返しに、目と耳と鼻と口の穴をあけてやろうと思いつき、二人は穴をあけてあげた。数日後に穴が完成したときには、中央の帝は死んでしまった。~~

 南海の帝と北海の帝は、知識の神を象徴しています。それに対して中央の帝は、混沌にして優大な大自然を象徴しています。中央の帝をそのままにしておけば、そこには悠遠の生命があったはずなのに、おせっかいな知識が命を縮めてしまったわけです。

 引き算をしたら、案外うまく行くこともあるものです。有益なことを一つ始めるよりも、無益なことを一つ減らした方がうまく行くこともあるのです。道(タオ)に目覚めた人は、余計な知識をどんどん減らして行き、最後には無為の境地にたどり着きます。そして何ものにもこだわらず、あるがまま自然に生きられるようになります。健康のために、あれもこれもと付け足すのではなくて、余計なものを減らしていった方が、より自然で無理のない健康な状態に近づくこともあります。そういうのも、道の生き方なのかも知れません。
 
 ところで、オーストリアのツヴァイテンドルフ村というところは世界一安全な原発があるそうです。30数年前に建設されて以来、住民投票で半数以上が反対したため、一度も稼動することがありませんでした。それが数年前に、太陽光パネルを備えた太陽光発電所に生まれ変わったのです。オーストリアの人たちは引き算をすることによりロハスへの道を確実に歩んでいるのです。
 
 

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2011 春号)

画像 424.jpgとことんこだわって○(マル) 潔くあきらめるのも○(マル) 大切なのは自分の中で緩急を持たせることです。

 「こだわる」という語は「些細なことに心がとらわれて進展できないでいる」という意味がありますが、辞書を見ると「(いい意味で)徹底的に追求する」という意味もあります。例えば『こだわりの逸品』となれば、お取り寄せしたくなるような、肯定的な意味もあります。

 「あきらめる」という語は多くの場合「諦める」と書きます。これには、「仕方がないと認めて受け入れる」という意味があり、断念するときなどに使われます。少し消極的なマイナスのイメージがありますが、果たしてそうでしょうか。

 私が今回何を言いたいのかというと、「人の生活を100パーセントこだわり続けて生きていくことは不可能である」ということです。例えば、物事に熱中することを「寝食を忘れて」といいますが、そんな生活を毎日続けていたら、人はやがて死んでしまいます。でも、仕事でも趣味でも、自分にとって大切なものにはそれこそ寝食を忘れて打ち込むことはすばらしいことです。要するに「こだわる」ためには大変なエネルギーが必要です。ですから、こだわる必要のない部分ではエネルギーを温存するエコな生き方が必要になってくるのです。

 ゴムを手に持ってみてください。引っ張ると伸びますね。そして力を緩めれば元にもどります。でも引っ張り続けたらどうなると思いますか?やがて裂けてきて、切れてしまいます。こだわって生きているときはゴムを引っ張っている状態だと思います。ですから、時々元にもどす、緩めてあげないといけないのです。

 緩めるとは、ぐうたら生きることではないのです。自分にとって大切なものによりエネルギーを傾けられるように、自分のまわりを風通しよく整理していくこと、それには「あきらめる」潔さが必要ですね。

 辞書を引くと「あきらめる」にはもうひとつあって「明らめる」これは、「事情を明らかにする、気持ちを晴れやかにする、心を明るく楽しくする」という意味が出てきます。勇気を持ってあきらめて!!そうすれば自分にとって大切なものがもっと鮮明になって、エネルギーが注ぎやすくなります。

 春から気持ちを入れかえて生きてみませんか?

 鍼灸治療の目的は「気」の調整です。気持ちの入れかえがうまくいかない、くよくよしてしまう…そんなときにもお役に立てると思います。  

室長の健康アドバイス (奏玲通信2011 初春号)

画像 383.jpg逆らわない生き方  

大宇宙の中に生かされていることに感謝して

 長男が生まれた17,8年前頃と今の生活を比べると、いろいろなことが様変わりしました。当時は宅配便にはお正月休みがありました。ですから、この時期の荷物はそのことを考慮して準備する必要があったわけです。インターネットも携帯も大して普及していませんでした。だからといってそれほど不自由を感じていたわけではないのですが、今日までの進歩はめざましく、最近ではネットで朝注文すればその日のうちに届くサービスもあるとか。

 そのようなサービスを可能にしているのは舞台裏で昼夜を問わずシステムが動いているからです。コンビニの24時間営業がわかりやすい例でしょう。確かに急を要するときにはとても便利に思えます。でもその「急」が本当にどこまで急ぎなのか私自身も疑問に感じることがあります。

 2千年前に書かれた『黄帝内経』(こうていないけい)にこんなくだりがあります。

 「大昔の人々は養生の道理をわきまえ、陰陽にのっとり、季節や暦の数にあわせ、飲食には節度があり、労働と休息にも一定の規則があり、みだりに動くことはしませんでした。それゆえに肉体と精神はとても健やかで盛んであり、彼らが当然享受すべき年令まで生きて、100才を過ぎて世を去ったのです。現在の人(といっても2千年前ですが…)はそうではなく、(中略)異常なことを平常として生活し、精気を使い果たし、命を育んでくれる気を消耗し…精気を保持することを知らずに、常々精力を用い過ぎ、一時の快さを貪り、養生に反して享楽しています。こんなことだから50歳になるやならずで老衰してしまうのです。

 いかがでしょうか。現代の私たちにもそのまま通じる厳しい洞察力には驚かされます。いつの時代にも人間の欲望には際限がないのでしょう。でも、どんなに文明が進歩しても、私たちは大自然を前にしては雨一つ操ることも出来ないはかない存在です。私たちはその普遍の力にもっと敬意を払わなくてはいけないと思います。

 「過ぎたるは及ばざるが如し」 「足るを知る」など、昔からの英知を素直に受け止めて生きていきたいものです。

 くよくよしたって始まらない。今この時を生かされていることに感謝しつつ今日も元気に!そうすれば「気」はおのずと流れます。もちろん鍼灸もお手伝いします。

 

 

室長の健康アドバイス (奏玲通信2010 冬号)

身近な生活の中でがんばり過ぎない体作り 

これからもずっと元気でいるために!

 無為自然の処世哲学を説いた『老子』に次のような記述があります。

「およそ草木にいたるまで、生物は生きているときにはやわらかくもろいが、死ぬと枯れて硬くなる。だから、硬く強いものは死の仲間であり、柔らかく弱いものは生の仲間である」

 肩こりや腰痛など、筋肉が硬くなっているのは、身体を流れる気が滞っている状態です。また、気の落ち込み・不安感・イライラ等も、気の流れが滞って心が凝り固まっている状態といえるでしょう。身体の気の流れを良くすることが鍼灸治療の真骨頂です。鍼灸治療で気をサラサラと流すことで、心も身体も柔軟になり、生きている人の本来の姿にもどってゆきます。

 柔軟といえば、水ほど柔軟なものはありません。『老子』には「上善は水の如し」とあり、水のように生きることが最良の生き方だと説いています。

 水は決して争おうとはせず、丸い器に入れば丸くなり、四角い器に入れば四角になる。形にとらわれず、自由自在です。形を持たないから、かえってどんな隙間にも入って行き、巨岩をも粉々にしてしまう。すなわち水とは、柔らかく弱々しいことに徹して、何よりも強いといえるでしょう。

 水のように柔軟な心身が理想的です。だからといって、筋トレやストレッチをいきなりやりだしてがんばりすぎると疲労や痛みが残り、かえって気の流れが滞り硬くなってしまいます。

 『老子』は「為す無くして為さざる無し」と説いています。「為す無くして」は自然に従うことと解釈されています。物事自ずからそうなるところ、そうあるところに素直に従いまかせる、これが『老子』が説く人本来の姿です。

 治療の後「体を動かしましょう」「ストレッチもいいですよ」「歩きましょう」と皆さんにお話しますが、まずは自分が楽に出来るところから。心地よく終われる程度が目安です。ぶらぶら近所を歩いてみる、仕事の合間に座ったまま足首を回してみる、ちょっと背伸びをしてみる、手足の指先を動かしてみる…。少し関節を動かすだけで筋肉の伸縮が起きて、筋肉のポンプ作用で血液循環が促されて、手足が温まり足腰の緊張がほぐれます。また、歩きながら腹式呼吸をしてみるのも気の流れを促します。口から4回はいて鼻から2回吸う「はいて、はいて、はいて、はいて、  吸う、吸う」肺に溜まっている古い空気を十分吐き出して、新鮮な空気を吸うのです。空気が澄んでいる朝の時間にこの呼吸を少しやるだけでも心身の緊張がほぐれて身体が目覚め、爽快な気分になります。

    「時間がないから」「運動は苦手」とあきらめないで。

                ちょっとずつ毎日やればいつの間にかしなやかな身体に!!

室長の健康アドバイス (奏玲通信2010 秋号)

 近所のケヤキ「痛み」を正しく理解しましょう。 その2

 コリや痛みで治療に来られた患者さんからこんなことを言われることがよくあります。「病院でもらった消炎鎮痛剤入りの湿布をずっと貼っているのに、痛みが取れない」。さて、夏号の復習です。この湿布の使い方は正しいでしょうか。

 自律神経(交感神経と副交感神経)がバランスよく働いているときには白血球の働きもよく、病気に負けない免疫力を保つことが出来ます。白血球には顆粒球・リンパ球・単球の3種類に大別され、細菌や異物が体内に侵入したときにそれらを攻撃し排除したり、免疫力を高める働きをしています。ところが自律神経の働きが乱れると白血球のバランスもおかしくなり免疫力が低下します。交感神経が高ぶっている状態が続くと、白血球内の顆粒球が増えてリンパ球が減って免疫力が低下するのです。

 バンテリンなどの塗り薬や、湿布薬などには鎮痛薬のインドメタシンが配合されているものが少なくありません。患部が赤くはれていたり、熱を持ってズキズキ痛むような急性期の痛みの場合に、痛み止めの飲み薬・塗り薬・湿布薬を使ったり患部を冷やしたりすると、交感神経の働きが強まり、発痛物質のプロスタグランジンが関与している痛みはおさまります。

 でも痛みにもいろいろあって、肩こり・緊張性頭痛・疲労性腰痛などの慢性的な痛みは、交感神経の緊張からくる筋肉の疲労や、過緊張屋冷えによる場合が大半です。慢性的な痛みに対して、鎮痛剤を飲んだり、冷たい湿布をしたりすれば、交感神経の高ぶりに拍車がかかってますます痛みがひどくなる可能性があります。

 慢性的な痛みから脱却するためには、鎮痛薬の継続的な使用を慎むべきです。慢性的な痛みの場合は、温めたりして患部をやわらげて、副交感神経の働きを高めて自律神経のバランスを戻してあげることが大切です。

 「冷やさないように」というのは、×暑いのを我慢して患部を温めるとか、×汗をかきかき上着を着てしまうとかではなく、「直接冷房の風が当たり続けてしまわないように工夫する」とか、「シャワーだけで済まさずにゆっくり湯船につかって体を温める」…など、こういうことです。効果的な治療というのは「気持ちがいい」こと。そこのところは、ご自身の体の声を聞く必要がありますね。

 鍼灸治療は高ぶりすぎた交感神経をやわらげて筋肉をほぐし、血液循環をよくして手足を温めます。そして、副交感神経の働きを高めて、リンパ球を増やし免疫力を高めます。夏の疲れをリセットするために鍼灸治療をぜひお試しください。

室長の健康アドバイス  (奏玲通信2010 夏号)

「痛み」を正しく理解しましょう。 その1

夏号・秋号2回シリーズでお届けします。

 歯痛・関節痛・頭痛・腰痛…、痛みというのは嫌なものです。痛くて、夜も眠れない・仕事が手につかない等、日常生活に支障をきたすこともありますね。そんなときに活躍するのが鎮痛薬です。鎮痛薬で、とりあえず痛みを軽減させれば、スムーズな日常生活を取り戻すことが出来ます。

 触覚・聴覚・視覚・温冷覚…など、人には様々な感覚が備わっていて、生きていく上で重要な役割を担っていますが、「痛覚」も生きていくためには必要不可欠なものです。

 身体のどこかが痛いということは危険を知らせる赤信号が点灯したという事です。痛くて関節を曲げられないとか、立ち上がれないということは「今は関節を曲げてはいけませんよ」「安静にしていなさいよ」という、身体からのメッセージなのです。

 鎮痛薬は、痛みという赤信号を一時的に消してはくれますが、それは『信号を無視して交差点に進入する』ような危険をはらむことにもなるのです。鎮痛薬で痛みが軽減しても、痛みの原因はそのままです。薬で痛みが和らいだからといって無理をしてしまうと、症状を悪化させてしまうこともあります。

 鎮痛薬というのは、痛くて我慢できない時にだけ飲むものであって、よほどのことがない限り何週間も飲み続けるものではありません。

 

 ケガなどをして関節や筋肉が痛いという状態は、損傷された部分の細胞からプロスタグランジンという発痛物質が放出されるためだと考えられています。鎮痛薬の成分であるアスピリンやインドメタシンは、発痛物質のプロスタグランジンの放出を抑えて痛みを減少させます。

 このプロスタグランジンには、交感神経の働きを抑える作用もあります。ですから、このプロスタグランジンが減少すると交感神経の働きが活発になります。交感神経が高ぶり続けると、顆粒球という白血球が増え、活性酸素が大量発生して、組織破壊が進みます。つまり、痛み止めを継続的に服用することは、自律神経のバランスを崩し、新たな症状や病気の引き金にもなりかねないリスクを背負うということなのです。

 マイケル・ジャクソンの主治医が鎮痛薬を過剰に処方していたということで問題になりました。このことは、鎮痛薬による対症療法(症状だけをとる治療)が、新たな症状を生み出してゆき、やがては心臓までも止めてしまう危険性があるということを物語るものでした。

 ドラックストアーでは様々な痛み止めが売られていて、手軽に買い求めることが出来ます。「ちょっと頭痛がするから…」だけで薬に頼るのは、実はとても恐ろしいことだということを知っておいていただきたいのです。

 次回は、「痛みの種類と対処法」について考えていきます。9月をお楽しみに!

 

室長の健康アドバイス  (奏玲通信2010 初夏号)

新緑散歩.jpg「歩くと頭が軽くなる」…ヒポクラテス ~お散歩の勧め~

 レオ(盲導犬です)と生活をするようになって6年がたちました。私の生活の中に加わった朝1時間ほどの散歩。私の目覚ましは「4時45分」に鳴ります。前の日が遅かったりすると、眠い日もありますが、階段の所でしっぽを振っているだろう…と思えば、「えいっ」と、起きられます。 

 散歩をしだして、朝の空気を全身で感じるようになりました。まだ日の出の遅い1月、2月は、きっと暗いんでしょう、鳥たちも寝ているのか、とても静かです。今は明るくなって、鳥のさえずりの中で散歩が始まります。車もほとんど通らないので、木のにおい、空気に含まれる水分のにおい、花の香り…、目が見えなくてもどんなところを歩いているのかイメージが膨らみます。散歩が佳境に入った6時前、肌に太陽の暖かさを感じはじめ、体全体が温まり、同時に頭もジンワリ目覚めてくる感じはとても心地よいものです。

 治療に来られる方には、肩や首周りの凝り、頭痛、寝つきの悪さ、手足の冷え…などの症状をお持ちの方がとても多いです。長時間のデスクワーク、パソコンを凝視する時間の増加、ちょっとの移動でも車に乗ってしまう生活は、頭の方にばかり「気」が集まってしまい、体が休みたくても、頭が起きていて、十分な休息が取れずに全身が凝ってきてしまう。現代社会では、かなり意識して対策をしていかないと、この不快な症状はついてまわるでしょう。

 治療の際に私は「お散歩」をお勧めしています。手を振って歩くことで、足や手の筋肉が刺激され、頭に集まり過ぎていた「気」が、「足(手)の方にも行かなくちゃぁ!」と気づき、全身にまんべんなく流れてくれるようになります。長時間でなくてもいいのです。ベランダで、首を回したり、背伸びをしたりでもいいでしょう。生活の中に意識して取り入れてみてください。可能であれば朝、朝日を感じてみてください。夜型になりがちな体の時計が正常に動き始め、寝つきもよくなります。

 今回のタイトル「歩くと頭が軽くなる」は、古代ギリシャ時代《医学の父》といわれるヒポクラテスの言葉です。現代よりずっと体を動かしていただろう時代に、歩くことの大切さを説いたヒポクラテス。健康を維持するということは、古代からの普遍のテーマで、私たち人間がどう積極的に関わっていくのかが重要なんだ…と、改めて気づかされました。

 さわやかなこの季節、皆さんもお散歩に出てみましょう! 

 

 

 

室長の健康アドバイス  (奏玲通信2010 春号)

宇宙とつながる私たち                            是非お花見にいらしてください。

治療室外観.jpg

 今回壮大なテーマになっています。                    

 大自然の中に身を置いていると、私たちは心も体も癒された気持ちになります。高校生のころ2000メートル級の山々に登ったりしましたが、山の頂で夜明けを迎えたりすると、言葉では表現しきれないほどに感動したものでした。ひろがり行く薄明かりの彼方の地平線に太陽が顔をのぞかせて、森羅万象が深い眠りから覚めたとき、宇宙のリズムと自己とが一体化したような感覚さえ覚えました。

 日々の生活の中では、そういう全身的な感覚を感じることは少ないものです。しかし、「大自然と自己との一体感」というのは、太古の昔から記憶として潜在意識の中に継承され、現代人の中にも、そのような感覚が保たれているはずなのです。

 今から2千年前の漢王朝の時代に編纂された『黄帝内経』(こうていないけい)という鍼灸治療の書物に次のような記載があります。

 「春においては人々は少し遅く寝て少し早く起き、庭に出てゆっくりと歩き、体をのびやかにし、心持ちは活き活きと生気を充満させて、生まれたばかりの万物と同様にするがよい」

 『黄帝内経」』に貫かれている思想は天人合一(てんじんごういつ)です。すなわち、「大自然の変化に応じた生活をして、また気候の変動に注意をして、心は安らかで静かであれば、病が襲うことはない。鍼やお灸というのは、生命のリズム(人の気)と大自然のリズム(天地の気)とを調和させて、病気予防や治療をするための道具である」と説かれています。

 日々の生活の中で疲労を感じたり、気分が落ち込んだり、風邪かな?と感じたり、コリや痛みを感じたときに、すぐに風邪薬や鎮痛剤ばかりに頼ってしまうのではなくて、大自然の「気」と同調するような生活を工夫してみましょう。とはいえ、いちいち山に登って御来光…というのは無理ですから、ン朝日を浴びながら近所をウォーキングとか、昼休みに日向ぼっこをしながらストレッチとか、夕日の中で腹式呼吸とか、夜空を見上げて視力調整とか…、気軽に取り組める小さなことも天の気と人体の気の合一が可能なのです。これを習慣化すれば疲労やコリ、痛みの改善に効果が出てきます。もちろん鍼灸治療もいいですよ。

室長の健康アドバイス   (奏玲通信2010 新春号)

 

画像 162.jpg今年もキーワードは『温める』です
 
 最近「体温を上げると健康になる」齋藤真嗣著(サンマーク出版)と言う本がベストセラーになっています。その本によれば、「体温が1度下がると免疫力は30パーセント低下する、逆に1度上がると免疫力は5~6倍もアップする」「風邪を引いたら風呂に入ると良い、解熱剤は使わない」「ストレスが低体温人間を作る。体温が低いとがん細胞は元気になる」と書いてあります。このコーナーでも体を温めることの大切さは何度もお話してきましたが、ぜひとも皆さんに呼んでいただきたい今年お勧めの一冊です。
 
(今年も花壇に水仙がたくさん咲きました)
 
 よく「血液がドロドロ」と言う表現を耳にしますが、これはどういう状態かというと、血液中の赤血球がくっついて塊になってゴロゴロ流れている感じでしょうか。赤血球は酸素や栄養分を全身にいきわたらせてくれる働きをしているのですが、固まっていると酸素や栄養分を運べる量も減り、細い血管内を流れることが出来ず、必要な栄養を体が吸収できないと言う悪循環に…。血液中の赤血球がくっつきあってしまう原因は低体温にあるのです。今年1年は「温める」をキーワードに生活をしてみてください。
 
①40度くらいのお風呂にしっかりつかる。
②レッグウォーマーやマフラー、カイロなどを上手に使い身体の冷えやすい部分を適切に温める。
③「冷え症」にならないために筋肉を鍛える。
 
 注意は「過度の厚着」「熱すぎるお風呂に我慢して入る」など過度にやってしまうこと。「過ぎたるは及ばざるが如し」でかえって体調を崩すことになりかねません。目安は「自分にとって気持ちがいいこと」気持ちがいいというのはリラックスしていて効果が出ているということです。③の筋肉を鍛えることも、いきなりスポーツクラブでガンガンやるのではなく、普段運動不足であれば、椅子に座っているときに足首を回してみる、立ち上がったら少し上体をひねってみる、アキレス腱をちょっと伸ばしてみる…そこから始めてみるのです。そしてそのちょっとした時間を毎日続けること!知らない間に筋肉は鍛えられます。
 
 鍼灸治療も体を温めます。しかも機械的に一律に温めるのではなくて、血液が不足している所には血液循環を良くして温め、多すぎるところには充血を解消してほてりを取り除くというような血液循環のバランスを整えつつ、体を温めていきます。日々の生活の中に鍼灸を取り入れて、皆さんに健康になっていただきたいと願っております。
 

 

 

  お気に入りの本です画像 128.jpg

 

とら年だからってわけではないのですが、とってもほのぼのムードの絵本でお勧めです。お母さんと女の子がお茶の時間にしようとしてたら、トラがおうちにやってきて…。

こどもが小さいときにたまに行く病院で、行く度に読んだ本です。きっと人気があったんでしょうね、行くごとにボロボロになっていくんです。治療室にも置いてありますのでぜひどうぞ!うちにもこんなトラちゃん来ないかな?!
































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